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要約・ラーマクリシュナの生涯(22)「アクシャイとモトゥルの死」③

◎ナディア訪問

 同じ頃、ラーマクリシュナは、チャイタニヤの聖地であるナディアを訪問した。

 チャイタニヤはベンガル地方では特に神の化身として信じられているが、それを信じない批判的な者たちも多くいた。チャイタニヤを信仰するヴァイシュナヴァ(ヴィシュヌ派)の信仰者たちに非常に偏狭な者が多いこともあり、ヴァイシュナヴァ自体を低く見る者も多かった。
 そこでラーマクリシュナは、チャイタニヤが本当に神の化身だったのかどうか確かめるために、ナディアを訪問したのだった。もし本当に彼が神の化身ならば、その聖なるあらわれが何かあるに違いないし、何かを感じるだろうと思ったのだった。
 しかしナディアの様々な場所を訪れても、両腕を上げるチャイタニヤの木像を見ただけで、特に何も感じるものはなかった。ラーマクリシュナはがっかりして、どうしてこんなところに来てしまったのかと後悔した。
 しかし帰りの船に乗ろうとしたとき、ラーマクリシュナは、10代の美しい少年としてのチャイタニヤとニティヤーナンダのヴィジョンを見た。黄金を溶かしたような輝く肌の色をして、頭の周りには後光が差していた。そして二人はほほえみながらラーマクリシュナに向かって駆けてきて、両腕を空に掲げた。ラーマクリシュナは「来たよ! 彼らが来たよ!」と叫んだ。するとチャイタニヤとニティヤーナンダはラーマクリシュナの体の中に入り、ラーマクリシュナは意識を失って倒れた。
 この後もいくつかの神秘的経験をすることによって、ラーマクリシュナは、チャイタニヤが真に神の化身であることを確信するようになった。

 後にこの話を聞いた信者が、なぜナディアの様々な場所では何も感じなかったのかと聞かれると、ラーマクリシュナは、チャイタニヤの神遊びがおこなわれた昔のナディアは今はもう川底に沈んでおり、ラーマクリシュナがチャイタニヤのヴィジョンを見て法悦状態に入ったあたりがその神遊びの場所だったのだ、と答えた。

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