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「聖者の生涯 ナーロー」⑨(10)

◎存在を越えた境地へ

【本文】
 最高の悟りであるマハームドラーを達成したナーローに対して、ティローは、すべての衆生の利益のために行動するように告げ、また、チベットからマルパという弟子がやってくるので、彼を指導し、チベットに教えを広めさせるように指示しました。
 ティローの指示通り、ナーローは衆生のために仏教の教えを広めました。多くの者がナーローの弟子となり、解脱を達成しました。そしてティローの予言どおり、チベットからマルパがやってきて、ナーローの教えを受け継ぎ、チベットにその教えを広めました。
 その後ナーローは、八十五歳で肉体を捨てたといわれています。

 チベットで教えを広めていたマルパが、あるとき、ナーローに新たな教えを受けに行くことを勧告するような夢を見ました。そしてマルパの弟子のミラレーパも、同様の夢を見ました。そこでマルパは周囲の反対を押し切って、高齢ながら、通算三度目のインドへの旅に出、ナーローを探しました。

 しかしすでにその頃、ナーローは肉体を捨てていました。しかしマルパは、ナーローにゆかりの者達から、必ずナーローに会えるだろうという示唆を受け、ナーローを探し続けました。

 そして数ヵ月後、ついにマルパは、この世に存在するとも存在しないともいえない状態となっていたナーローと出会うことができました。ナーローは、まだ伝授していなかった教えをマルパに伝授すると、また霊的な領域へと消えていきました。マルパはチベットに帰り、ミラレーパをはじめとする弟子達に、ナーローの教えを伝えました。ミラレーパはガンポパをはじめとする弟子達にその教えを伝え、ガンポパはその教えとカダム派の教えをミックスし、カギュー派の教えを確立し、その教えはチベット中に広まっていきました。

 はい。これで終わりですね。この最後の部分は次のマルパの話に続く部分なのであまり突っ込まないけども、マルパがやってきて弟子になるわけですね。で、その後は肉体上ナーローは死ぬわけだけども、この世にいるともいないともいえないような霊的な境地としてナーローは存在し続けてね、その状態のナーローにマルパが会って最後の教えを受けたと。で、帰ってミラレーパに、そしてガンポパにという流れでそのカギュー派の教えがね、伝わっていったっていうところですね。
 はい、これでついにナーローの物語は終わりですね。

 はい。では特に質問がなければ終わりましょう。

(一同)ありがとうございました。

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