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心の散動

◎心の散動

【本文】
ドゥフカ・ダウルマナシャーンガメージャヤトヴァ・
シュワーシャプラシュヴァーサー ヴィクシェーパサハブヴァハ

苦しみ、不満、手足の震え、不規則な呼吸等が、心の散動状態に伴って起こり、集中を続けることができなくなる。

タットプラティシェーダールタメーカタットヴァービヤーサーハ

心の散動を対治するには、ある一つの対象に繰り返し心を集中する方法を用いる。

 さっき挙げたさまざまな障害ね。病気、無気力、疑念、怠惰、落ち着きのなさ、執着、誤った見解、サマーディに入れない心の状態、サマーディに入っても長くとどまれない心の状態――こういったものから、その結果として心にいろんな苦しみが出たり、不満が出たり、あるいは実際に不規則な呼吸や手足の震え――ってあるけど、これは何をあらわしているか曖昧だけど、落ち着きがなく貧乏ゆすりとかそういうことをいっているのか(笑)、他のことをいっているのか分からないけど――とにかく、呼吸が荒くなったり精神的に不満や苦痛が出たりして、それによって全く瞑想どころじゃなくなってしまいますよ、ということだね。そういったものを対治――つまり対抗治療ですね。そういったものをしっかりなくすには――さっきオームの音を唱えながら神を念ずるというのが一つあったけども、そうじゃなくて――ある一つの対象にしっかりと繰り返し心を集中する方法でも、心を寂静に持っていけますよと。
 もう一回まとめるけども、オームを唱えながら神を瞑想するやり方、それからもう一つはさまざまなことに精神集中していくことによっても、こういった心の障害を除いて、ヨーガの完成に近づくことができますよということですね。
 はい、じゃあ一応いったんこれで終わって、最後に質問があったら聞いて終わりにしましょう。

◎オーム瞑想

(T)オームを唱えながらっていうのは、ずっと「オーム、オーム、オーム……」というふうに唱えるんですか?

 そうそう。つまり「アーウーム……」これをずーっと続けるんだね。で、心では、自分の好きなものでいいけど――例えばシヴァ神ならシヴァ神でもいいし、クリシュナでもいいし、自分の心にフィットする、仏陀でもいいよ――それをイメージしながら、「オーム……」とやり続けるんです。
 有名なヨーゲシヴァラナンダいう、もう死んじゃったんだけど、最近まで生きていた近代の大聖者がいて、その人が若いころ師匠にいわれた修行っていうのが、このオームを一日十二時間唱えることだったんだね(笑)。十二時間ずーっと、「オーム……」。そういう修行もあるんだね。
 ただ現代では、みんなにそれをやらせようとは思わない。ちょっと精神状態とかカルマがまた違うから。今の日本人にそれをやらせても、ちょっと効率が悪いかなっていう感じがするね。そこまでそれをやる土台もまだできていない。だからそれができる人っていうのは、相当まず集中力があって心が安定している人ですね。
 例えば今のこのカイラスでね、来た人に、「お、来ましたか」と。「君に秘儀を伝授しよう。オーム…」ってやって(笑)、「はいじゃあ、今日はクラス一時間だけど、一時間やってね。はい、スタート」――もう次から来なくなる(笑)。一時間でも多分なかなか辛いと思うね。十二時間なんてちょっとありえないというか。だから現代では、もっと現代人にあったいろんな効果的なやり方があっていいと思う。
 ただね、オーム瞑想はすごくいい瞑想ですよ。だからそれを十二時間はちょっとあれだけど、五分でも十分でも、あるいは三十分でもやるのはとてもいいことだね。
 このオーム瞑想のときはね、いろんなやり方があるんだけど、これは内観の力を得、とか書いてあったけど、これね、すごく自分の心に深く入っていけるので、私は唱えながら目をつぶった方がいいと思うんだけど、開けたかったら開けてもいいけど、そこで展開される心の景色というか、心を観察してたらいいです。例えば何でもいいんだけど、「オーム……」ってやってたら、もし光が見えてきたら光を観察すればいいし。あるいはいろんなイメージがわいてきたら、そのイメージをただ観察する。こういうことを繰り返していると、だんだん自分の心がよく分かるようになってくるというかな。あるいはより深い意識に入って、その深い意識をよく観察できるようになってきます。そのような力がつくというか。これは絶対的にやらなきゃいけないわけじゃないけど、いい瞑想の一つだね。
 せっかくなので、ちょっとだけみんなでオーム瞑想をやってみましょう。短いのでちょっとあわせて五回ぐらい。もう一回いうと、アとオの中間ぐらいの音を「アー……」と出して、最後のほうで「ウー……」に変化して、最後は鼻から「ンー……」と消える感じね。あわせるので若干短めに五回ほどいってみましょう。その間目をつぶってそこで展開されるいろんな――例えばね、ぐにゃぐにゃと何かうごくとか、何でもいいです。とにかく観察してください。はい。

【オーム5回】

 これはやりたい人はやったらいいね。いろんな瞑想法があるので、好きなのを選んでやったらいいと思う。もちろん「何をやったらいいですか?」って私に聞いてきたら「これとこれをやったらいいんじゃない?」って指示するけど、もし自分で何かやりたいのがあるんだったら、好きなものを選んでやったらいいと思います。この瞑想もその一つですね。

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