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「グル・リンポチェ」(3)

◎マハームドラー・ヴィディヤーダラの境地へ

 あるときグル・リンポチェはサホールの国へ行き、そこで尼僧として孤独にダルマを実践していた、王の娘であるマンダーラヴァー王女に会いました。その王女との関係の深遠な意味が誤解され、グル・リンポチェは王の命令により、生きたまま巨大な火葬用の薪で焼かれることになりました。
 しかし彼は焼かれることなく、火を水に変え、燃料を蓮へと変えてしまいました。翌日、湖の真ん中の蓮の花の中に座っているグル・リンポチェの姿が発見されました。その湖は北インドのヒマーチャルプラデーシュの、マンディ地域のレワルサール湖であると信じられています。
 王は、罪滅ぼしのために王冠と衣服、靴と王国のすべてと、そして霊的配偶者としてマンダーラヴァー王女をグル・リンポチェに差し出しました。グル・リンポチェは、王と王の家臣に、教えと多くの成就を与えました。

 それからグル・リンポチェとマンダーラヴァーは、ネパールのミラティカ渓谷へ行き、長寿の霊的修行を三ヶ月間おこないました。そこにアミターユス如来が現われ、彼らに長寿のエンパワーメントを与えたため、彼らとアミターユス如来とのあいだに確固たる縁が生まれました。
 グル・リンポチェとマンダーラヴァーは、生をコントロールするヴィディヤーダラのステージに達し、この二番目の達成によって、グル・リンポチェの智性は神性さとして完璧となり、彼の粗雑な身体さえ完全となりました。
 この達成は、四つの堕落から自由であるという性質を持っています。四つの堕落とは、間違った見解からくる感情の苦悩、支配や選択のない身体の喪失(死)、身体の元素の調和の不制御(不健康)、そして調御や選択なしにカルマによって生まれ変わることです。
 一番目と二番目のヴィディヤーダラのステージは、正観の道の三番目のステージ、およびスートラの十のステージの最初のステージと同等です。

 その後、グル・リンポチェは、マンダラーヴァーと共にウッディヤーナへ戻りました。施し物をもらいに歩いている時、グル・リンポチェは、かつて大臣の息子を殺した犯人であるということがばれ、国外追放の刑罰を無視したことにより、マンダラーヴァーと共に、巨大な炎で焼かれることになってしまいました。しかし二人が火にかけられたその翌日、首に頭蓋骨の輪をかけ、池に咲く蓮の花の上に座っている二人が発見されました。

 そしてグル・リンポチェは、ウッディヤーナで13年間、王国のグルとしてとどまり、教えとエンパワーメントを与えました。王とたくさんの幸運な家臣たちは、究極の悟りと光の身体を獲得しました。彼はその時、パドマラージャ(蓮華の王)として知られていました。

 あるときはグル・リンポチェは、インドラセーナという、アショーカ王(紀元前3世紀)を仏教へ改宗させた熟達した僧として顕現しました。アショーカというこのインド歴史上最大の支配者は、国境を越えて仏法を広めていきました。ある反仏教勢力がグル・リンポチェに毒を盛りましたたが、効果はなく、またある者たちは彼をガンガーへ投げ込みましたが、彼は逆に上流へと運ばれていきました。
 グル・リンポチェはその時、「若く強大なガルーダ」として知られていました。

 グル・リンポチェは様々な火葬場で、ダーキニー達にタントラの教えを与え、そして強力な精霊たちから生命源を吸い取り、それらの精霊をダルマの守護者として任命しました。彼は「スーリヤラシュミ(太陽の輝き)」として知られていました。
 ブッダガヤーでは、彼は討論会で、間違った見解を持つ500人の教師を論破しました。その教師達は魔法によってグル・リンポチェに打ち勝とうとしましたが、彼はダーキニー・マラジタというライオンの顔を持つ女神のマントラの力でそれを跳ね返しました。そしてグル・リンポチェは、村人たちを仏教徒へ改宗させました。そして彼は「シンハナーダ(ライオンの咆哮)」として知られるようになりました。

 その後グル・リンポチェは、ヤンレ・ショという、現在はネパールのパルピンとして知られている場所で、ネパールのプンニャダラ(功徳を持つ者)王の娘であるサーキャデーヴィーを配偶者として、シュリーヘールカ・マンダラの霊的修行をおこないました。
 その当時、その場所は強力な霊による妨害のために3年もの間干ばつに見舞われ、疫病と飢饉が蔓延していました。グル・リンポチェは、ヴァジュラキーラの書物がインドから彼の元に届くように願いました。そしてその書物が到着した途端に、国を苦しめていた災いは収まりました。そのため、
「シュリーへールカは悟りの達成に恵まれた商人のようであり、
 ヴァジュラキーラはそれを守る守衛のように不可欠なものである」
といわれるようになりました。

 そしてグル・リンポチェとサーキャデーヴィーは、マハームドラー・ヴィディヤーダラのステージに到達しました。
 この達成においては、基礎の体(または実際の肉体)は神の形をとっており、生類の利益のために様々な放射した形をまとって顕現します。人の先見の明の力とその他の力は、生を支配できるヴィディヤーダラのそれよりもさらに透明で純粋でより安定しており、報身の性質と、同等ではないが似通っています。これは、一般的な仏教のシステムにおける九番目のステージと同等の境地です。

 すでに非常に優れたタントラの熟達者となっていたグル・リンポチェは、ソーサドヴィーパの火葬場で、シュリーシンハからタントラとカンドゥ・ニンティクのゾクチェンの三つのサイクルの教えを受け取り、それを三年間修行したのち、偉大なる変容の光の身体を獲得しました。

 最高のゾクチェンを達成した瞑想家たちは、すべての存在を純粋なる本性へと送り込み、彼らの心を根源的純粋性である究極の悟りの本性へと結び付けます。彼らが望むなら、彼らもまた肉体を純粋性へと溶解、または変容させることができます。
 成就には、虹の身体と、偉大なる変容の虹の身体の二つの主なる種類があります。断絶の瞑想の極致を通じて、死の際(二、三日の時間を要する)、粗雑な肉体や骨、皮膚は残さず、爪と体毛だけを残し、彼らの身体は溶解して消滅します。これは身体の分解ですが、光の身体への変容ではなく、分解の過程の間に、色とりどりの光のような虹の輪が出現するため、虹の身体と呼ばれます。
 直接的働きかけの実践を通して、衆生の利益のために奉仕する仕事がある限り、彼らは肉体を繊細な光の身体に変えて、その状態に留まります。
 そのような人にとって、単なる彼または彼女の身体だけでなく、すべての現象的出現は、繊細な光の本性へと変容していきます。しかしながら、一般の衆生には何も見えないか、あるいは通常の形として認識され、彼または彼女の光の身体をありのままに見ることはできません。
 また、身体を文字や像、あるいは聖なる物質の形に変えて遺していく偉大なゾクチェンの成就者たちも多くいます。

 このようにしてグル・リンポチェは、インドや他の多くの国や島などの至る所を訪れ、悟りの教えや彼の奇跡的パワーを用いて、衆生に奉仕しました。
 あるときは彼はタヴィフリチャとして顕現し、シャンシュンに行き、多くの衆生を悟りの精神と光の身体の獲得へ導くため、現在はボン教でゾクチェンの要の教えの一つとして知られているゾクチェン・ニェンギュを教えました。

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