グル・リンポチェ(大聖パドマサンバヴァ)(6)
☆グルリンポチェの五人の主要な配偶者たち
◎チベットのイェシェー・ツォギャル
イェシェー・ツォギャルは、人間の形をまとったヴァジュラヴァーラーヒーであり、ターラーとブッダローチャナーの化身でもあります。
彼女はカルチェンのタグダで、吉兆な印に囲まれて生まれました。ツォギャルの父はナムカ・イエシェーという中央チベットの重要な公国であるカルチェンの王で、母親はゲワ・ブムといいました。
ツォギャルの出生時、自宅の横に突然、湖が現われました。それは「ツォギャルの魂の湖」と呼ばれ、今でも湖の跡である池が残っています。また、彼女が子供の頃に家の近くの岩につけた足跡が、近年まで残っていました。
当初ツォギャルはティソン・デツェン王の配偶者でしたが、王がアビシェーカを受ける前にマンダラの供物として彼女をグル・リンポチェに捧げたため、ツォギャルはグル・リンポチェの配偶者となりました。
ツォギャルはグル・リンポチェからアビシェーカを受け、その儀式において、彼女が投げた花はヴァジュラキーラのマンダラに落ちました。そしてヴァジュラキーラのサーダナの実践によって、彼女はヴァジュラキーラのヴィジョンを見、成就を達成しました。
ツォギャルはチベットで、グル・リンポチェから与えられた教えのほとんどすべてを学び、修行することによって、成就と最高の悟りに達しました。奇跡的な力によって、または何百もの場所で瞑想したり、土地を祝福しながら、グル・リンポチェと共にチベット中を巡りました。絶対的記憶力の成就を獲得したことにより、ツォギャルはその記憶の力を通じて、チベットでグル・リンポチェによって与えられた、想像もつかぬほど膨大な教えを心の中に蓄積していました。そしてグル・リンポチェの命令に従い、ツォギャルは、将来の支持者の利益となるように、さまざまな場所に教えを隠しました。
イェシェー・ツォギャルは、グル・リンポチェがチベットを離れてからも何年もチベットに留まり、テルマを違う場所に隠し直しました。最期には、カラシッディとタシ・チテンと共に、肉体の遺骸を残さずに、グル・リンポチェの浄土である【銅色に輝く聖山】に向かって、空を飛んでいきました。