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「パーンドゥ王の死」

(8)パーンドゥ王の死

☆主要登場人物の紹介
◎パーンドゥ王・・・サティヤヴァティー妃の孫。アンバーリカー妃の息子。
◎ビーシュマ・・・シャーンタヌ王とガンガー女神の息子。パーンドゥ王の叔父。生涯独身の純潔を守るという誓いを立てた。
◎ヴィドラ・・・アンバーリカー妃の侍女の子。マハートマ(偉大なる魂)といわれ、人々から尊敬されていた。
◎クンティー妃・・・パーンドゥ王の第一夫人。少女のころ、賢者ドルヴァーサから、神の子を授かるマントラを得た。
◎マードリー妃・・・パーンドゥ王の第二夫人。
◎サティヤヴァティー妃・・・シャーンタヌ王の后。パーンドゥ王の祖母。
◎アンビカー妃・・・サティヤヴァティー妃の息子ヴィチットラヴィーリヤの妻。
◎アンバーリカー妃・・・サティヤヴァティー妃の息子ヴィチットラヴィーリヤの妻。パーンドゥ王の母。

 キンダマという行者が、妻とともに鹿の姿に変身して、森の中で遊んでいました。そこへパーンドゥ王が狩りをしにやってきて、行者が姿を変えたものだとは知らず、その鹿を矢で射ち、殺してしまいました。死の直前にキンダマ行者は、
「罪人め。お前は、妻とセックスをした瞬間に死ぬことになるだろう」
という呪いの言葉を口にしました。

 恐ろしくなったパーンドゥ王は、王国をビーシュマとヴィドラの二人に任せた後、第一婦人のクンティー妃と、第二夫人のマードリー妃とともに、森の中に引きこもり、完全な禁欲の生活を送りました。

 しかしパーンドゥ王にはまだ子供がいなかったので、子供がほしいという強い望みがありました。それを知ったクンティー妃は、自分が少女のころに賢者ドルヴァーサから授けられた、息子授与のマントラのことを告げました。
 パーンドゥ王は早速そのマントラをクンティー妃とマードリー妃に使わせました。

 そうしてクンティー妃は、まず法の神ダルマを呼び出して、ユディシュティラを産みました。
 次に風の神ヴァーユを呼び出して、ビーマを産みました。
 次に神々の王インドラを呼び出して、アルジュナを産みました。

 マードリー妃は、アシュヴィン双神を呼び出して、ナクラとサハデーヴァを産みました。

 こうしてパーンドゥ王は、二人の妻と五人の子供たちとともに、長い年月を森の中で暮らしました。

 ある年の春のこと、パーンドゥ王はマードリー妃とともに森の中でくつろいでいましたが、心を浮き立たせる春の生気に感応してしまった王は、激しく欲情し、マードリー妃の拒絶にもかかわらず、マードリー妃と交わってしまいました。その瞬間、キンダマ行者の呪いが効力を発揮し、パーンドゥ王はたちまち死んでしまいました。
 マードリー妃は強い悲しみと同時に、自分の責任を感じました。そしてパーンドゥ王の遺体が焼かれているとき、クンティー妃に向かって、五人の子供たちの母親になってほしいと懇願すると、そのままその火に飛び込み、自殺してしまいました。

 森に住む賢者たちは、悲しみに沈むクンティー妃と五人の王子たちを、ハスティナープラへ連れて行き、ビーシュマの手に託しました。パーンドゥ王が死んだことを知ると、国中が悲しみに包まれました。

 賢者ヴィヤーサは、サティヤヴァティーにこう言いました。
「今までは時が楽しく過ぎて行きましたが、これからはこの一族に、多くの悲しみがやってまいります。年老いたあなた様は、この一族に降りかかる悲惨や不幸をご覧になる必要はありません。余生を森の中で過ごすほうがよろしいかと思います。」

 サティヤヴァティーは同意し、アンビカーとアンバーリカーを伴って森に入りました。そしてこの三人の年老いた王妃たちは、聖なる修行を通じて高い至福の境地に至ったのでした。

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