仏教修行者の基礎(3)「ニルヴァーナに至れない者の相」
◎ニルヴァーナに至れない者の相
ニルヴァーナに至れない者の相には多くのものがあるが、そのうちのいくつかをここに記そう。
1.心の奥底に強烈な渇愛があり、完全に渇愛の対象と結びついていている者。
2.輪廻のデメリットについて多く学んでいながらも、輪廻のデメリットを少しも理解できず、輪廻を厭うことがない者。
また、ニルヴァーナの素晴らしさについて多く学んでいながらも、わずかながらもニルヴァーナの素晴らしさを理解できず、ニルヴァーナを称賛せず、歓喜も生じない者。
3.悪を犯しても、自己に対しても他者に対しても愧じることがない者。この者は、悪を厭う心を持たず、悪を犯すことを恐れず、喜びをもって悪を行なう。そして悪を行なっても、悔いることがない。この者は最後には徳が尽き、悪趣に落ちる。
4.四つの真理が説かれたときに、わずかすらも、心がひきつけられたり、信を生じたり、理解することのない者。
5.寂静に至るためではなく、ニルヴァーナに至るためではなく、生活苦などの正しくない理由によって出家した者。彼は出家修行者の姿をしているが、ニルヴァーナではなく天界に生まれることを目指して修行し、戒を守らず、心が腐っており、悪行を働き、教えを学ばない。
6.ニルヴァーナではなく、来世、良い転生をすることを願って、身・口・意の善業をなす者。
以上のようなさまざまな相を成就してしまっている者を、「ニルヴァーナに至れない者」という。
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