yoga school kailas

神に目覚めよ


 

 雌虎が山羊の群れを襲った。猟師が遠くからそれを見つけて射殺した。雌虎の胎には子がいて、それが生まれてしまった。
 その子虎は山羊の群れの中で大きくなっていった。はじめは山羊の母親の乳を飲んでいたが、その後、少し成長すると草を食べ始めた。そして、山羊と同じようにビャービャーとなく。だんだん成長して大虎になったが、相変わらず草を食べ、ビャービャーとないている。他の野獣に襲われると、山羊と一緒になって一目散に逃げ出す!
 ある日、猛虎が山羊の群れを襲った。彼は、びっくり仰天して眺めた。山羊どもの中に虎が一匹いて、草を食べている。しかも、山羊と一緒になって逃げ出した!
 それで、山羊どもはほうっておき、その珍しい草くい虎を捕まえた。そいつはまだビャービャー哀れな声を出して、逃げようとするんだ! 苦心しながら水際まで連れて行った。そして言い聞かせた。

「この水に映っているお前の顔を見ろ。そーれ、よく見るんだ。俺は、鍋のように丸い顔だが、お前の顔も俺と同じだろう。」

 次に、一片の肉を口の中に押し込んでやった。はじめ彼は、何だろうかと思って食べようとしなかったが・・・・・・やがて、味を覚えて肉が好きになった。そこで、猛虎はまた言い聞かせた。

「お前は山羊どもと一緒に暮らして、あいつらと同じように草を食っていたんだぞ! 恥知らずめ!」
 
 それを聞いて、彼は本当に恥ずかしく感じた。

 草を食うとは、愛欲とお金にしがみついていることだ。
 ビャービャーないて逃げるのは、世間一般の人間と同じように行動することだ。
 猛虎と一緒に行くのは、グルが神の意識に目覚めさせてくださることだ。そのお方にすべてお任せして、そのお方こそ自分の本当の身内であると知ることだ。
 そして、自分の正しい顔を見ることは、尊い自己の本性を悟ることだ。

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする