yoga school kailas

◎五つの気

 さて、次の話は、5つの気の流れっていう問題ですね。
 さっきから気の流れとか風とか言っていますが、それも実は、何となくブワーッとあるわけじゃなくて、5パターンあります。
 はい、まず、体の下の辺りにモワモワーンってあるのが、じゃあH君、何ですか? 名前。

(H)アパーナ。

 おっ、すごい、覚えている。アパーナね。
 はい、そしてこのお腹の辺りにモヤモヤっとあるのが、これはサマーナね。で、胸の辺りにモアモアっとあるのが? じゃ、Tさん。

(T)プラーナ気。

 そうだね、プラーナ気。で、頭の辺りにモアモアってあるのが、これはウダーナです。
 で、全身を覆っているのが、ヴィヤーナってやつですね。
 はい、この5つのタイプの気がありますよと。で、この、最後のヴィヤーナっていうのは、一般にいうところのオーラと考えてください。つまり人間の体を覆っている、まあ、なんていうかな、肉体を守っている気ですね。これがヴィヤーナっていいます。

◎アパーナ気

 で、アパーナ、これは気の流れとしては下に下げる気です。これは何のためにあるのかっていうと、まあ、下に下げると。もう一つはねえ、発散だね。つまり毒素の発散。つまり働きとしてはまず食物を、消化されたものを、排便する。排便、排尿。それから、まあ汗とかもそうですね。だからねえ、痩せる方法として、アパーナ気を強めるっていうやり方があります。これをやった場合、痩せますが、意識は悲惨になります(笑)。

(T)よくありますよ、ダイエット法とかってほとんどそうじゃないですか? これを飲むと痩せるとか。

 そうだね。だから下痢をして痩せるとかいうのはもう最悪だね。
 で、このアパーナ気はもちろん必要ではあるんだけど、修行者の場合はこれをねえ……あの、弱いのは駄目なんですよ。アパーナ気は弱くちゃ駄目で、強くないといけないんだけど、強い物を逆流させるんだね。もちろんこれは、糞尿を出すとか、その程度には下に下げないといけないんだけど、普段は逆にこのアパーナ気が上に上がるぐらいに変えなきゃいけない。
 アパーナ気が下がっていると、蓮華座が痛いです。だから蓮華座が痛くなくなってきたら、ああ、アパーナ気が上がってきたなって思ったらいい。それから、あともちろん体が重いです、アパーナ気が下がっていると。だから逆に体が軽くなってきたら、アパーナ気が上がってきたなと。
 アパーナ気をねえ、上げる最も簡単な方法は、肛門の引き締めです。だから普段からグッと肛門を引き締めたり、あるいはこう、ギュッギュッと何度も引き締めたりしてると、アパーナ気が上がりやすくなるね。もちろん、心と気の流れは連動するので、下に下げるような心の働きをしてると、アパーナ気も下がります。
 さっき言わなかったけど、排便、排尿、汗だけではなく、性的な行為、これもアパーナ気の働きです。つまり、例えば男性が精を漏らしたい欲求するのは、これはアパーナ気の強さを表しています。
 私ねえ、ちょっとこういう言い方して通じるか分かんないけど、ある時期、「あっ!」て感じたことがあって。「あっ! 俺、漏れない!」って感じたんです(笑)。「あっ! 漏れないぞ、俺」って。これはねえ、感覚なんだけどね、「あっ、漏れない!」って思ったんです。それはね、アパーナ気がある程度上がっちゃった状態なんだね。で、分かるんですよ、「あ、俺、精子が漏れない」って分かったんです。つまり、相当アパーナ気が上がったんだね。そういう感覚があります。でも普通はそうじゃなくて、アパーナが皆下がってるので、無意識に漏らしたくなるんだね。これもだから、ガンガンガンガン気を上げて、意識レベルを上げないと、そういったその、下位の世界に引きずり込まれる。

◎どの穴から抜けるか

 ちょっと話が飛ぶけれども、人間が死んだ時、ヨーガやチベットの考えでは、我々の意識の塊みたいなものが、物理的にこの肉体のどこかから抜けていきます。じゃあそれは、どうして、どこから、何によって意識が運ばれて抜けるのかっていったら、当然この気の流れに乗るんです。
 何を言いたいかっていうと、生きていた時にアパーナ気バリバリで生きていた人、ね、気を下げまくっていた人は、死んだ後もアパーナ気が中心に働くので、体の下の方に意識がワーッと持っていかれます。
 で、だいたいオーソドックスなセオリーとしていうと、肛門からそのまま抜けたら地獄界に生まれます。
 性器から抜けたら動物に生まれます。だから、人生セックスだといって、セックスをやりまくった人っていうのは、性器にエネルギーが行きやすくなっているので、死んだ後もそのままスーッと意識が性器から抜けて、動物界に生まれ変わると。
 だからすごく仏教とかヨーガ理論って面白いんだね。道徳的なっていうか、精神論的なものプラス、こういった物理的な考えがミックスされているから、理論立ってるんだね。あまり性欲に溺れていると動物に生まれ変わりますよと。それはこうこうこうだからっていう精神論的な話もできるんだけど、物理的にもそうなんだね。あまり性器に気を集めすぎていると、死んだ後もそこから抜けてしまいますよと。で、そこから動物界に道が通じていますよと。
 あるいは、怒りはあんまり出していると、非常に気がガン!って下がります。で、動物界よりも下がってしまう。で、肛門、またはねえ、最も下がった場合、足の裏から抜けます。足の裏からも抜け道があるんだね。足の裏の穴からスーっと抜けて、もろ地獄に落ちます。
 よって、少なくても生きているうちに、アパーナ気は上に上げておいた方がいい。

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