yoga school kailas

ヨーガの身体論


2006年8月31日 勉強会 「ヨーガの身体論」

◎押さえておくべき理論

 今日は「ヨーガの身体論」ですね。まあクンダリニー・ヨーガの話の序章として、ヨーガの身体論について、本当に簡単な基本だけ、話していきたいと思います。
 ヨーガの身体論っていうのは当然、インド医学、つまりアーユルヴェーダっていうやつね、これとか、それからチベット医学、あるいは中医学、この辺とかなりダブることもあります。つまり東洋独特の身体に対する捉え方があって、それを元にヨーガの修行っていうのが組み立てられるわけですね。
 で、この辺は我々が普通知っている西洋的な肉体の捉え方にプラスして、この東洋的な考え方も押さえておかないといけない、ということですね。
 全然概念とか、元から違うんですね。
 まあ、押さえておかなきゃいけない項目をパっと羅列すると、まず三体質理論。それから五大元素。それから五つの気。あとはチャクラ理論ですね。この辺は全部ダブっています。で、この辺をザーッと押さえておきましょう。ダブるところは復習だと思って聞いてください。

◎三体質

 まず三体質理論。三体質理論っていうのはよくここでも話が出る、「あー、Cさんピッタですね」とか(笑)、「あなた粘液体質ですね」とか、そういう理論だね。
 で、これは何なのかっていうと、簡単に書きますと………人間の生命活動っていうのを考えた場合、まず当然その、我々のこの体を動かしているエンジンが必要だって考えるわけだね。当然筋肉があって、この筋肉の収縮や伸びによってこの体が動いているわけですが、そこに血液が酸素を運んだりとか、いろんな栄養素を運んだりとか、いろんな体のシステムがあるわけですが、その全てのシステムの大元となっているエンジンみたいなものを考えています。エンジンね。これは火のエネルギー、ピッタといいます。これは日本語に訳されて「胆汁」といいますが、胆汁といっても、現代医学の胆汁とは全く違います。一応胆汁って言葉が与えられているだけで。ピッタってやつですね。
 これはねえ、中医学でいうと「熱」っていわれているのとほぼイコールだね。完全にイコールではないけど。
 はい、これはエンジンだと。つまりガーッて我々の機能を動かす元となるエンジン。で、ここでエネルギーが発生されたら、そのエネルギーを体中に回さなきゃいけません。この体中に回す働き、これを漢字で風、ヴァータといっています。ヴァータね。これは日本語に訳されて、風(ふう)だね。風。そのまま風といいます。
 で、エンジンで作られたエネルギーを体に回すことによって生命活動が成り立つのですが、ただエンジンっていうのはずーっと働きっぱなしだから、オーバーヒートしちゃうんですね。よって適度に冷やさなければいけません。この冷やす働き、つまり水の働き、これをカパといいます。これを日本語に訳して粘液っていいます。これはね、そうだな、ヴァータでは中医学で気に当たるとか言われる。で、粘液がこれは津液(しんえき)ってやつだね。これはだから、中医学ともかなりダブる感じになります。
 はい、これが人間の生命活動です。この生命活動がうまく全てバランスが取れている時は、人間は健康です。エンジンでエネルギーが作られ、それが体中に回されて、エンジンが焼け焦げないように適度に冷却されると。
 しかしほとんどの人は生まれつきバランスが狂っています。どこかが強かったりどこかが弱かったりするわけですね。

◎ピッタ

 これはバランスが良ければいいんだけど、だいたいバランスが生まれつき狂ってます。それはカルマによって生まれつき狂ってて、生まれつきの体質っていうのがあります。もちろん修行すると変わってくるんだけど。
 まず全体の中でピッタが強過ぎる場合。つまり冷却よりもピッタが強過ぎる場合、いつもカッカカッカ燃えている人になります。まあ、Cさんみたいなタイプだね。まさに体がいつも熱いと。このタイプの人っていうのは、炎症性の病にかかりやすい。つまり、「何とか炎」ってやつだね。あの、内臓の何とか炎とかもそうだし、あるいは皮膚もそうだし、炎症性の病にかかりやすいといわれています。
 それから、体が非常に熱いので、いつも飲み物とか冷たいものを取りたがります。実は私もピッタなんだね、どちらかというと。
 だいたいねえ、それぞれ、たとえばもろピッタだけとかいう人は少なくて、だいたい二つくらいあるんです。ピッタとヴァータが強いとか、ピッタとカパが強いとか。私はピッタとヴァータのタイプだったね。ちょっとピッタの方が強い気味と。で、そのタイプっていうのは、私もそうだけど、すごく水を欲しがったり、あるいは冷たいものを欲しがるタイプですね。

◎ヴァータ

 はい、そして次にヴァータ。このヴァータがうまく体を運行していればいいんですが、このヴァータが強過ぎるタイプっていうのは、体のね、気の通り道があるわけですよね、この気道、ナーディってヨーガではいうわけですが。ヴァータが強い場合のデメリットっていうのは、ヴァータが強いこと自体は本当は問題ないんだけど、普通の人は気道が詰まっているわけですよね。気道っていうのは気の通り道。中国で言う経絡です。つまり、我々は普通「気が通ってますね」とか、気がどうのこうのっていうけれど、なんとなく気があって、なんとなく気が通っているんじゃなくて、血管みたいに、ちゃんとそのパイプの中を気が通っているんですね。で、このパイプっていうのは、普通詰まっているんです、いろんな形で。物理的にこれは詰まっているんです。まあそれもカルマだったり心の汚れだったりするんだけど。
 その詰まっている細い管の中を、気が通ろうとしている。詰まってるのに気がちょっと強すぎた場合、当然障害が起きるんです。つまり、本当は通らないところにグーッと通そうとするから、ガガガガッていう感じで、こう、停滞するっていうか、交通渋滞だね。交通渋滞状態を起こす。これをヴァータの欠陥といいます。この場合、精神不安定になります。あるいはもう一つのパターンは、リウマチとか神経痛の意味不明な痛み。偏頭痛もそうですね。だからヴァータで代表的なのは精神病、偏頭痛、神経痛、リウマチだね。このいくつかに当てはまる人は完全にヴァータタイプだと思ってください。いつも私は心が揺れると(笑)。偏頭痛もすると。で、なんか、足とか手も痛いと(笑)。それは完全にヴァータだ、ね。

◎カパ

 はい、そしてカパ。つまり水が強過ぎる人。この場合、当然エンジンを冷やし過ぎるので、ちょっと体が冷えた人になる。まあ女性に多いけどね、元々。冷え性とか、それから副交感神経が強くなりすぎるので、ちょっと怠け者になります。それからちょっと、なんていうかな、体に力が入らないとか、あと低血圧もそうです。
 それから特徴的にはカパの人は、これは完全に全員がそうだとはいえないけど、傾向としては色白で太りやすいです、カパは。ピッタは筋肉質っていうか、ガッチリタイプになりやすいです。ヴァータは、ガリガリ、痩せやすいです。これはあくまでも、そうなりやすいっていうことです。
 はい、そしてカパに戻るけども、カパのタイプの人っていうのは、粘液体質という名前の通り、実際に皆が浄化法とかやると出てくるドロドロの粘液があるけども、あれが普通よりも多いんだね、体の中に。だからカパの人、カパタイプの人は特に浄化法をやったらいいね。
 浄化法っていうのはねえ、皆がやっている浄化法っていうのは、二つの考え方があって、まあ、ある経典ではそれはヨーガをやる人は皆やるべきだっていっているんだけど、ある別の経典では、浄化法は、粘液体質の人だけがやればいい、っていっている(笑)。まあ、だからどちらにしろ、粘液体質の人は特に必要なんだね。

◎三体質のバランスを取る

 はい、これが三体質理論なんだ。さっきも言ったように、この中でどれか一つが強かったり、あるいは二つが強かったりする。こういう性質を生まれつき持っています。で、生まれつきのものっていうのは、修行しない限りなかなか変わらない。それに応じたいろんな病とか、あるいはいろんな心の性格とかが決定されちゃうんだね。修行するとそのバランスがよくなっていくんです。で、これが完全にバランスが取れた状態を健康な状態っていうわけだね。
 今日はそんなに突っ込まないけども、実際このバランスを取るための食生活とか、あるいは生活の仕方とかを、アーユルヴェーダとかでは事細かに示しています。つまり、例えばだよ、ヴァータを強める食べ物とかがあるわけです。この人はピッタとカパが強すぎて、ヴァータが弱いから、じゃあヴァータを強める食べ物を食べましょうとか。あるいは逆に、いや、あなたピッタ強いのにこんなものばっかり食ってたら駄目だと。それやめてくださいとかね(笑)。

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