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モトゥルナート・ビスワスの生涯(15)

 一八六八年一月二十七日、モトゥルとジャガダンバーは、師とフリダイを含むおよそ一二五人の一行を伴って、北インドの主要な聖地への巡礼に出発した。二等列車を一台、三等列車を三台、一行のために予約した。鉄道会社と提携して、列車をどの駅でも切り離すことができた。モトゥルは十万ルピー以上をこの聖地巡礼に費やした。

 一行はまずデーオーガルで数日逗留し、シヴァ神の有名な寺院に詣でた。ある日シュリー・ラーマクリシュナは、すぐ近くの村の人々の悲惨な状態をごらんになり、慈悲心に駆られた。彼はモトゥルにおっしゃった。

「おまえは母の財産の管理人だ。この貧しい人々にそれぞれ一切れの布とおいしい食事を与えておやり。そして、頭に塗るオイルも与えておやり。」

 しかしモトゥルは渋り、こう答えた。

「ババ、この聖地巡礼には相当量の費用が掛かりますし、ここには多くの人々がいます。あなたがお命じになる分を与えてしまったら、わたしはのちにお金に不自由することになるかもしれません。」

 シュリー・ラーマクリシュナは激しく叫ばれた。

「見下げ果てたやつめ!」

 彼はおっしゃった。

「わたしはヴァーラーナシーには行かないよ。ここで人々と共に残る。彼らの面倒を見てくれる人が一人もいないのだ。彼らをそのままにしておくことはできない。」

 もちろんモトゥルが折れた。カルカッタから衣服を取り寄せ、師の他の要求もすべて満たした。それから一行はヴァーラーナシーへの旅を続けたのだった。

 しかし道中で、ほんのわずかな災難があった。ヴァーラーナシーの近くの駅で、シュリー・ラーマクリシュナとフリダイは列車を降りるのに数分かかり、列車は彼らを置いて出発してしまった。モトゥルは非常に動揺した。次の列車で彼らをヴァーラーナシーに送るようにと、ヴァーラーナシーから電報を打った。しかし程なくして、鉄道会社の職員がたまたま臨時列車でその駅に到着し、ヴァーラーナシー行きの列車に自分と共に乗るように、二人に誠意をもって申し出た。

 モトゥルはヴァーラーナシーにあるケダルナート・テンプル近くのケダルガートに二軒の家を借り、国王のような優雅な暮らしぶりで生活し始めた。彼が寺院を訪れるときはいつも、使用人が彼の頭の上に銀製の傘をさした。彼は、シュリー・ラーマクリシュナが恍惚境に没入なさっている間、(ガートからガンガーへ)落っこちる恐れがあると分かっていた。それでモトゥルは、師が容易に寺院を訪れることができるように、彼をお運びする籠を思いやり深く用意した。

 ある日、モトゥルは地元のブラーフミン達のために饗宴をもうけ、贈り物で彼らをもてなした。師は、学者がつまらならないことのために内輪もめをしていることにお気付きになった。モトゥルもまた、他の地主と世俗的な会話にふけり始めた。この俗事のすべてがシュリー・ラーマクリシュナを大いに苦しめ、彼はドッキネッショルに戻ることをお望みになった。

 別の日、モトゥルはガンガーからの町の眺めを見に船旅へシュリー・ラーマクリシュナをお連れした。彼らがマニカルニカの火葬場に近付くにつれ、シュリー・ラーマクリシュナはあるヴィジョンを経験なさった。彼は船の縁に駆けつけ、サマーディに没入なさった。舵手は彼が川に落ちるのではないかと心配し、駆け寄って彼を捕まえたが、師は静止してそこに立っていらっしゃった。モトゥルとフリダイは彼に触れないようにして側に立った。シュリー・ラーマクリシュナはのちに自身のヴィジョンを説明してくださった。

「聖母が火葬の薪の隣に腰をお掛けして、魂をこの世に縛り付ける結び目をほどいていらっしゃたのだ。一方で、シヴァ神が死者の耳元で、直ちに解放を与えるマントラを囁いていらっしゃった。」

 聖典の記述さえをもしのぐこのヴィジョンを耳にして、学者達は驚いた。

 ヴァーラーナシーで一週間を過ごした後、一行は数日間かけてアラハバードへ行き、ガンガーとヤムナー川の聖なる合流点で沐浴をし、その後、再びヴァーラーナシーへ戻ってきた。
 次に、クリシュナの遊び場であるヴリンダーヴァンへ向かった。ここでもモトゥルは、シュリー・ラーマクリシュナを聖地へお連れするために籠を用意した。彼はまた多額のお金を布施した。ヴリンダーヴァンに住んでいた、高い境地にあるヴィシュヌ派の聖女ガンガーマーターは、シュリー・ラーマクリシュナがラーダーの化身であると信じていた。彼女は師もヴリンダーヴァンに住んでほしいと思い、ヴリンダーヴァンにとどまるようにと彼を説得しつつあった。モトゥルは悲嘆にくれた。師がいなくて、どうやってカルカッタに戻ることができるか分からなかった。しかしシュリー・ラーマクリシュナは、ドッキネッショルに住む年老いた母であるチャンドラのことを思い出されて、ようやく気が変わった。
 ヴリンダーヴァンで二週間を過ごした後、再び一行はヴァーラーナシーへ戻り、五月の終わりまでそこに滞在した。モトゥルは帰り道の途中でガヤーを訪れたいと思っていたが、師は行くのを拒まれた。彼は、ガヤーで見た彼の父のヴィジョンとご自分の出生の神秘的な真実についてご存じであり、そこを訪れてしまうと、彼の使命が果たされる前に肉体を去って聖なる源に融合するであろうことを確信しておられた。それゆえ、一行は四か月間の聖地巡礼を終え、カルカッタに戻ったのだった。

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