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シュリーラーマチャリタマーナサ(19)「結婚の承諾」

「結婚の承諾」

「さて、これから別の物語を話すことにしましょう」

 そう言うと、ヤージュニャヴァルキャ仙人は、語りつづける。

 因縁話をすべて聞き終わると、ブラフマー様をはじめとする天界の精霊は、天国に向かって帰って行く。天国で勢揃いした天人たちは、守護神ヴィシュヌ様、創造神ブラフマー様を奉戴し、大拳してシヴァ様のところにやってくる。集まった天人たちが口を揃えて自分の賛歌を歌うのを聞くと、三日月を眉間の飾りとする大神シヴァ様は、非常に喜んで尋ねられる。

「天人たちよ!あなた方はなんの目的で、わたしのところに来られたのですか?」

 代表してブラフマー様が答えられる。

「主よ! あなたは全智全能の大神です。すべてをお見とおしです。それでも信愛の情黙しがたく、あえて申しあげます。世界に幸いをもたらされる主、シヴァ様! 天人たちの一致した切実な願いは、ほかでもありません。わたしたちがこの眼で、あなたのご結婚の慶祝を拝観したいということです。

 カーマデーヴァの一場の酔夢を木っ端微塵にうち砕いた大勇者!誰もがあなたのめでたいご結婚を拝観できるよう、お慈悲をお授けください。慈悲心の海よ! あなたはカーマデーヴァを灰にしたあと、その妻ラティーに神約を賜りました。まことに喜ばしい極みです。至尊の大導師に共通する特長は、先に罰を与えてもすぐに慈しみの恩愛を施されるやさしさです。ヒマーラヤの王ヒマーチャルの娘パールヴァティーは、誰にもなしえない苦行を見事に成し遂げました。どうか、あの娘の真心を快くお受け入れください。」

 創造神ブラフマー様の懇請を受け、同時にラーマ様のお言葉も思い浮かべながら、シヴァ様は喜びとともにきっぱりと約束される。

「そうしましょう!」

 それを聞くと、天人たちは歓喜していっせいに太鼓を叩き、花の雨を降らせはじめる。そして口々に、

「勝利あれ! 勝利あれ! 天人たちの主、シヴァ様に勝利あれ!」

と大喚声をあげる。

 好機と見て、北斗七星の精、七賢人が逸早く駆けつけてくる。ブラフマー様はただちに、七賢人をヒマーチャルの家に送られる。七賢人はまずパールヴァティー様のところに行き、本心を隠していかにも耳に心地よい柔らかく甘い言葉で囁きかける。

「ナーラダの言葉を真に受けて、あなたはわたしたちの言葉に耳を傾けませんでした。しかし、あなたの誓いはもはや無駄になりました。大神シヴァ様はカーマデーヴァを焼き滅ぼして、ご自身もいっさいの情念を灰にしてしまわれたのです。」

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