yoga school kailas

◎「ナーローの6ヨーガ」そのものの全体像

2.道そのものの修習

◎「ナーローの6ヨーガ」そのものの全体像

 「ナーローの6ヨーガ」の数え方にはいくつかのパターンがあるが、ここでは以下のパターンをとる。
①チャンダーリーの火
②幻身
③光
④転移(ポワ)
⑤トンジュク
⑥バルド

 このほかに「夢のヨーガ」も「ナーローの6ヨーガ」の一部として数えられることがあるが、ここでは夢のヨーガは、幻身のヨーガに含まれると考える。また、バルドのヨーガも、幻身のヨーガに含まれると考えることもできる。また、転移(ポワ)とトンジュクも、ひとまとめにして考えることもできる。

 一般的に、無上ヨーガの様々な究竟次第のプロセスにおいては、まず左右の気道を流れる気を中央気道に入れるためのすぐれた方法がなければならない。それに関しては多くの流儀があるが、この「ナーローの6ヨーガ」の流儀においては、臍のニルマーナ・チャクラにあるチャンダーリーの火を燃やし、覚醒した生命力を中央気道に入れるのである。それによって「四つの歓喜」を経験し、その最後に生じる「サハジャの智慧のマハームドラー」を維持するのである。
 
 ところで、このような方法によらずに、無分別のサマーディに入り、念と正智によって長い間サマーディを持続させると、至福・光輝・無分別という三つの特長を持つサマーディを経験する。この至福・光輝・無分別のサマーディは、小乗・大乗・真言乗のすべてにおいて、共通して経験することができる。

 しかしここでいう「マハームドラー」とは、その至福・光輝・無分別のサマーディとは、全く別のものなのである。これを理解することは非常に重要である。

 ミラレーパの一番弟子であるガンポパは、ミラレーパに会う前に、カダム派に出家し、基本的な仏教の教えをマスターし、高い瞑想のステージに達していた。しかしミラレーパはガンポパに初めて会ったとき、ガンポパが今まで行なってきた修行内容を聞いたうえで、

 砂を絞ってもバターをとることはできない
 そのようなサマーディでは十分ではないから
 私のチャンダーリーの火の修行を修習すべきである

というアドヴァイスを与えている。

 チャンダーリーの火の修行によって、覚醒した生命力が中央気道に入り、とどまり、溶け込むというプロセスによく熟達したならば、それによってボーディチッタ(精液)を漏らすことなくとどめることができるようになる。そして四つの歓喜を経験し、サハジャの歓喜と空の智慧を混ぜ合わせることによって、
①覚醒時に幻身を観想すること
②幻身によって光を観想すること
③睡眠の光をとらえること
④夢の幻を維持すること
などが可能になるので、これらの修行のベースはチャンダーリーの火の修行であるということができる。

 また、夢のヨーガを進めることで、バルドのヨーガの修行も進んでいくので、バルドのヨーガのベースもチャンダーリーの火の修行であるということができる。

 また、転移(ポワ)とトンジュクの二つも、覚醒した生命力を中央気道に流入させることができるようにならないと始まらないので、これもやはりチャンダーリーの火の修行がベースになるのである。

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする