「経験」①
第三章 経験
第三に、瞑想によって経験される事象についての説明をいたします。
まず最初に、前行について見ていきましょう。
☆前行
すべては無常であることの認識と、輪廻に対する厭逆の心を培うことは、外的な前行です。
これらは、この現世的人生にのめりこむことを、完全に払拭します。
正しく生きようという思いと、慈愛の心を起こすことは、特別な前行です。
これらの発願は、その人を大乗の道に沿って運んでいきます。
したがって、はじめにこれら二つの前行を養ってください。
☆崇高な前行
これらの後、最も崇高な前行に取り掛かります。
この二つのステージの前行を十分に修習した後に、
自分と世界を、神と神の宮殿のように変容する経験をするとき、
低俗なものの見方は、払いのけられます。
また、彼が師との霊的な親交という深遠な道を育み始めるとき、
師の慈悲の力によって、はかりしれない霊的な滋養が生じます。
この二つの崇高な前行によって、すべての障害は取り除かれ、二つの恩恵を受けることができます。
したがって、この二つの崇高な前行は、必ずおさめなければならないのです。
このように、前行は、複数の主題から成り立っています。
これらの前行を修めることによって、解脱に至る崇高な道は約束され、
心の本性の経験もまもなく訪れるでしょう。
これらの前行をしっかリと修めることで、
本行において経験されるべきことを修めるのは容易になり、
そこに障害はありません。
そして、修行の努力に対する様々な恩恵がますます増大するなどの無限の可能性があります。
それゆえに、前行の修養が大きな重要性を持つのです。