覚醒の虹の宝飾(5)「四つの妨げを除去する」
第四章 無常
◎覚醒を得ることができない四つの妨げ
私たちは誰でもみな如来の本性を有しているにもかかわらず、はるかなる永い間、輪廻でさまよい続け、いまだに覚醒を得られないでいるのはなぜでしょうか。それは今まで私たちが、「覚醒を得ることができない四つの妨げ」のなすがままになってきたからです。それは、以下の四つです。
①今生の喜びの対象に執着すること
②輪廻の生存の楽に執着すること
③寂静の安楽に執着すること
④覚醒を成就する方法を知らないこと
◎四つの妨げを除去する
その四つの妨げは、師の教えを聞き、実践することによって除去されます。
四つの妨げを除去するための師の教えとは、以下の四つです。
①無常の修習
②輪廻のデメリットと、カルマの法則
③慈愛と哀れみの修習
④発菩提心
このうち、無常の修習により、今生の喜びの対象に執着することが除去されます。
輪廻のデメリットとカルマの法則を修習することにより、輪廻の生存の楽に執着することが除去されます。
慈愛と哀れみを修習することにより、寂静の安楽に執着することが除去されます。
そして発菩提心の修習によって、覚醒を成就する方法を知らないことが除去されるのです。
最後の発菩提心についてもう少しだけ説明すると、帰依から始まって空の教えに至るまで、覚醒を成就する方法のすべては、発菩提心に関係しています。ある法は発菩提心のよりどころであり、ある法は発菩提心の条件であり、ある法は発菩提心の教えであり、ある法は発菩提心のメリットであり、ある法は発菩提心の果報です。大乗の法のすべては、発菩提心に集約されているのです。
そしてこれらすべての教えは師から生じており、それらを修習して全智に至れるかどうかは、師の教えにかかっているのです。