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「解説『スートラ・サムッチャヤ』」第九回(8)

◎普段から自分の心やエネルギーをチェックする

【本文】

 チャンドラプラディーパ・スートラ(月灯経)にも、こう説かれている。

「愛欲を求め、愚か者は、悪臭を放つ異性に身をゆだね、悪臭を放つ道に進み、それゆえに堕落し、苦悩する。
 求道者は愛欲を求めないし、異性にとらわれることもない。異性は実に恐ろしい罠であり、本当に危険な落とし穴である。
 賢い人は毒蛇のようなその罠を避け、すべてのブッダたちが歩んだ、悟りへの道を歩く。そして修行した結果、彼らは無上の覚醒を得るのである。」

 サッダルマスムリティウパスターナ(正法念処経)には、こう説かれている。

「邪淫に耽った男は、死後、地獄に落ち、次のような果報を受けなくてはならない。
 一人の女が熱灰の濁流に飲み込まれ、彼に向って『助けてください!』と叫ぶ。彼はカルマによって騙され、熱灰の河に飛び込む。その河に飛び込むや否や、彼の体の肉は、熱や、剃刀(かみそり)のような熱灰によって骨からはがれ、粉々になり、彼の身体はなくなる。しかしすぐにまた彼の肉体は再生される。
 するとまた遠くから、『私は灼熱地獄に落ちてしまいました! 助けてください!』という女の叫び声が聞こえる。男はその女を見て、愛欲に負け、彼女をしっかりつかもうとする。すると彼女はその男を捕まえ、鋭い鉄の武器で、男の胸の部分からその肉をはがし、粉々にし、彼の身体は血まみれになって、神経と筋の網だけが残る。
 しかし彼はまた愛欲が旺盛となり、そんな状態でありながらも彼女のあとを追う。
 彼の邪淫の悪業が滅びない限り、何百何千年もの間、このような地獄で苦しまなければならない。」

 はい。このへんはまず、続きなのであまり説明はしませんが、この後半の部分――邪淫に陥るとこういう地獄に落ちますよって書いてありますが――まず邪淫自体はカルマでいうと、一番中心的には動物界です。さっきも言ったようにね。邪淫に耽ると、われわれは動物に生まれ変わる可能性が強いですよと。
 あの……そうだな、ちょっとリアルに言いますよ。リアルに言うと、邪淫――これは絶対じゃなくて、そうなる可能性が強いという意味で言いますよ。邪淫に耽ると、死後のバルドで……まあそうだな、無智によって全く分かんなくて転生する場合も多いかもしれないけど、死後のバルドで、例えばだけど、気持ち悪い虫がウジャウジャとうごめいているヴィジョンが見えてきて、で、それを恐怖し、「うわあ! 気持ち悪い! 嫌だ!」と思いながらそこに引きずり込まれ、動物の子宮に入るとかね、例えばね。あるいは虫の卵の中に入るとかね。こういうパターン。あるいは、同じようにウジャウジャといろんな動物がうごめいてるヴィジョンが見えて、その気持ち悪さっていうかな、なんか嫌な感覚の中でそこに引きずり込まれ、その動物の子宮に宿るとかね。まあもしくは、ものすごく気持ち悪いっていうか、不快なエネルギー、不快な世界に引きずり込まれるようなかたちでその世界に行くとかね。
 まあつまりね、何を言いたいかっていうと、動物界、スワーディシュターナの世界っていうのは、本来的に不快なんです。不快ね。つまり気持ち悪い、不快であるっていう世界なんだね。だから動物界自体ももちろん幸せではありません。何度も言ってるけど、よく「わたしは来世ウサギに生まれたいの」とか言う人がいるかもしれないけど(笑)、女の子とかでね。……不快です(笑)。不快だしね、あとね、恐怖に満ちてるんだね。前も言ったけど。動物って恐怖のカルマが非常に強い。
 だから逆に言うとね、ちょっと話が広がっちゃうけど、もともと恐怖が強い人って動物のカルマがあるから、それはちゃんと乗り越えなきゃ駄目ですよ。いろんなことを恐怖すると。あるいはまあさっき言ったように、いろんなことから逃げたがるとかね。だから逆に堂々とした、強い、気高い自分の心っていうのを作りあげなきゃいけない。
 じゃなくて、いろんなものにビクビクすると。あるいはいろんなことを不安がったり、恐怖がったり、あるいは逃げたがったりすると。これは完全に動物に行く傾向を示してるので、はそれを克服しなきゃいけない。
 で、もう一回言うけども、動物界に落ちるときは、そのような恐怖とか不安とか、あるいは気持ち悪さとか、そういった非常に不快な世界にこう引きずり込まれるようにして、動物に生まれ変わる。でもこれはスワーディシュターナに集中したときの話なんだけど、じゃなくて、さっきから言ってるように性的なものとかっていうのは、アパーナ気を徹底的に強めるので、現代人みたいに徹底的に性的なことばっかり追いかけてると、アパーナ気が極度に強まるので、スワーディシュターナでは止まりません。つまり、ドーンってさらに下に落ちます。で、地獄に行くんです。だから邪淫イコール・スワーディシュターナっていうのは、ある程度まではそうなんだけども、度を越した場合は地獄に堕ちます。で、ここに書いてあるような、邪淫における地獄とかが始まるんだね。
 あの、そうだな、エネルギー的なヨーガが進むと、大体自分のエネルギーの流れが分かるようになってくる。だからそうなると自分のエネルギーが上がってんのか下がってんのか分かるようになるから、まあ分かりやすいんですけどね。初歩段階ではよく分かんない場合は、一つのバロメーターになるのはもちろん蓮華座とかあるよね。蓮華座が最初、多くの人が組みづらいのは、アパーナ気が強いからです。まあ二つあるけどね。アパーナ気が強いのと、あと下の方の気道が詰まってる。この二つです。二つのどちらか、もしくは両方によって、蓮華座が組みづらい。しかし組めるようになってくると、つまりそれはアパーナ気が上がってきた、もしくは詰まりがとれてきたっていう証拠ですね。でもとれてきてもいろんな条件によってまた下がったりすると、ちょっと組みづらくなったり、痛くなったりするんだね。これは一つのバロメーターですけども。まあそれ以外でも自分のその人生、こう生きててだんだん気が下がったときの精神状態、上がったときの精神状態、分かるようになってくるだろうから。
 だから逆に言うと、下がったらまずいって考えてください。これ、本当にまずいんですよ。何をさておいてもまずいって考えてください。皆さんよく人生で「まずい!」って思うことあると思うけども、何よりもまずいです(笑)。仕事上の「あ、ちょっと失敗しそうだ。まずい!」とかね、そんなのははっきり言ってどうでもいい。気が下がった――「まずい!」。これ本当にまずいです。――っていうのはさっき言ったように、帰れなくなるところまで下がっちゃう可能性だってありうるわけだから。だからまずいって考えてください。「あ、今おれ、おかしいぞ」と。「ちょっと意識が変なこと考えだしてる」と。あるいは、「あきらかにエネルギー的に下がりだしてる」と。「これは完全にまずいぞ」と。ね。全然そのベクトルが、神と逆の方に行ってると。そういうときはもう、いつも言うように、徹底的にいろんな方法を使って気を上げる努力をしてください。もう何をやってもいいっていうか、あらゆる方法を使ってね。その、だからそれが念正智につながるわけですけども。普段から自分の心やエネルギーをチェックして、おかしくなってたらしっかりと上に上げると。これはとても大事な作業だね。はい。

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