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2011年インド修行旅行記(11)「ベルル・マト」

 
 インドは、初めての人は特にですが、ある程度の期間滞在すると、必ず一度は体調を崩したり、お腹を壊したりしますね。私はインドも6回目なので、普通に水道水も飲めますし笑、あまり体調も崩さなくなりましたが、このヴリンダーヴァンの最終日に、いきなり体調がおかしくなってしまいました。
 朦朧とした意識の中で、私はいくつかのヴィジョンを見ました。その一つは、修行者たちが空飛ぶ馬車に乗って障害を乗り越えていくというヴィジョンで、それはとても縁起の良いヴィジョンであると感じました。
 そしてもう一つ印象的だったヴィジョンは、私がなぜか弓を引き、矢を射っているというヴィジョンでした。これはよく意味がわからなかったのと、私はもともとなぜか昔から弓が好きだったので、こういうイメージが出てきただけかもしれないと思い、空飛ぶ馬車のヴィジョンをみんなに話したときも、この弓矢のヴィジョンについては話しませんでした。
 しかし実はこのヴィジョンが暗示していたとも思われる出来事が後に起こるのでした。それについてはまた後の方で・・・・・・

 さて、我々はヴリンダーヴァンを発ってデリーで一泊した後、飛行機でコルカタへと向かいました。向かうは近代インド最大の聖者といわれるラーマクリシュナの弟子たちが作った僧院の本部であるベルル・マトです。
 このベルル・マトにはゲストハウスが併設されているのですが、普通は紹介などがないと泊まれません。我々は親交がある日本ヴェーダーンタ協会のスワミ・メダサーナンダさんの紹介により、ゲストハウスに泊めてもらうことになりました。
 しかしあいにくこのゲストハウスが修繕中だったために全員分の部屋を確保することができず、残りの人達は、これもメダサーナンダが紹介してくれた近くのホテルに泊まることになりました。

 わたしはここベルル・マトには何回か来たことがありましたが、いつもさっと見て回るだけで終わっていたので、実際にこんなに近くに宿泊して、腰を落ち着けてゆっくりとベルル・マトを見て回るのは初めてでした。
 そして聖堂で瞑想したり、広い敷地内を歩いたりして、私はとても大きな感動に包まれました。
 これは、後述する、近くにあるカーリー寺院もそうなのですが、何という圧倒的な神聖さ! そしてこのベルル・マト僧院に限っていうならば・・・・・・「神聖なる寂静」ともいうべき清らかさが保たれているのが素晴らしい。

 ベルル・マトの広い敷地が、本当に寂静で神聖なんです。私は今までもインドの様々な寺院やアシュラムを訪ねて来ましたが、インドなので、だいたい喧噪的な雰囲気をふくんだところが多いです。もちろん寂静な感じのところもありますが、このベルル・マトが持つ神聖かつ寂静なる雰囲気は、本当にずば抜けていると感じました。これはヴィヴェーカーナンダやブラフマーナンダを初めとするラーマクリシュナの直弟子達が、長い時間をかけて作り上げてきた雰囲気、それがまだ残っているのだと思いました。
 
 このベルル・マトのメインの聖堂であるラーマクリシュナ聖堂には、実際にラーマクリシュナの遺骨が安置されており、そしてヴィヴェーカーナンダがデザインしたというその建物は、ヒンドゥー教寺院・イスラム教のムスク・キリスト教の教会などの特徴をすべて併せ持った不思議な建物で、ラーマクリシュナが説いた「すべての宗教は一つ」ということをあらわしています。

 その後ろの方には、ヴィヴェーカーナンダが死の直前まで使い、実際にそこで亡くなったという部屋が、ベッドや家具などと共にそのまま残されています。

 また敷地内には、ホーリーマザーの聖堂、ヴィヴェーカーナンダの聖堂、ブラフマーナンダの聖堂、そしてその他のラーマクリシュナの直弟子達の遺骨が納められた場所などがあり、またラーマクリシュナやその直弟子達の貴重な遺品などが集められた博物館も併設されています。

 さて、我々は日本を発つ前に、ベルル・マトのゲストハウスを手配してくれたメダサーナンダさんから、このように言われていました。

「ベルル・マトで朝4時からおこなわれているアラティ(火の供養)はとても素晴らしいから、ぜひ参加してほしい。そしてその後、今度は僧たちの瞑想の時間になるので、その時間は邪魔をしないように退出してください。」

 私はゲストハウスとは別のホテルに泊まっていたのですが、ここは夜、入り口に鍵をかけるのです。管理人のおじさんが、朝、何時に鍵を開ければいいかと聞いてきたので、朝四時のアラティに参加したいので、3時45分頃に開けてほしいと頼みました。すると彼は一瞬、「そんなに早く!?」という感じで驚いた顔をしましたが、すぐに満面の笑みを浮かべて、「0K! 3時45分だな!」と言いました。

 しかし次の朝、3時45分になっても、鍵は開いていませんでした笑。管理人さんも来る気配はないので、業を煮やした私は、塀を乗り越えて何とか外に出て、急いでラーマクリシュナ聖堂に向かいました。

 何とか4時に間に合い、聖堂の中に座ると、すでに数人のヨーガ教室のメンバーも座っていました。ちょうど4時になった頃、僧が炎を手にしてラーマクリシュナの像などに供養する儀式が始まりました。しかしそれは5分程度で終わってしまったのです。
 「この後にまた何かあるんだろうな」と思ってそのまま座り続けていましたが、全く何をする気配もありません笑。「あれ、もしかして、退出しなきゃいけない、僧たちの瞑想時間になっちゃったのかな」と思いつつも、空間が気持ちいいので、そのまま瞑想していました。
 僧たちも、けっこう瞑想時間は自由らしく、一人また一人と、立ち上がっていきます。しかし我々のヨーガ教室のメンバーたちは、結局そのまま二時間近く、瞑想し続けていました。
 「結局最初のあの五分のやつがアラティだったんだね!」と、二時間近くの瞑想の後に、我々は笑い合いました。
 私は、二時間近くもほとんど身体を動かさずに瞑想する、教室のメンバーたちもすごいと思いましたが、もちろんそれは同時にこの聖堂の持つ素晴らしいヴァイブレーションのおかげでもありました。

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