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要約「スートラ・サムッチャヤ」(6)「五種行の菩薩」

◎五種行の菩薩

 ニヤターニヤトガティムドラーヴァターラ(入定不定印経)には、次の五種行の菩薩がいると説かれている。

①羊車行
②象車行
③日月神通行
④多学神通行
⑤如来神通行

 羊車行と象車行の菩薩は、菩薩行に対してまだ尻ごみしがちである。
 しかし、日月神通行と多学神通行と如来神通行の菩薩は、菩薩行において決して退くことがない。

 羊車行の菩薩とは、たとえばある人が羊車に乗って旅に出て、100ヨージャナほど行ったところで嵐に遭遇し、八万ヨージャナも後に戻された。このようなことが繰り返されるならば、彼はどんなに長い時の経過の後にも、目的地に到達することは不可能である。
 このような性質を持つ人は、菩提心を起こしたとしても、大乗に従わず、経典を読まず、実践せず、理の如く思惟せず、小乗の修行者に近づいて、小乗の経典を読み、観察し、すべてを成就したつもりになる。そして他の人にも小乗の経典を読ませ、説明する。彼は覚醒からますます離れ、智慧は鈍くなり、無上の覚醒からかえって退くことになる。また智慧の眼も鈍くなり、破壊される。このような人を、羊車行の菩薩という。

 象車行の菩薩とは、たとえばある人が象車に乗って旅に出て、同様に嵐にあって吹き飛ばされ、もといたスタート地点にまで戻ってしまう。
 このような性質を持つ人は、菩提心を生じて大乗に従い、大乗の経典を読み、実践し、理の如く思惟するが、もろもろの小乗の経典にも同じように従う。このような人が、象車行の菩薩である。

 日月神通行の菩薩とは、道に迷いながらも、長い間かかってなんとか目的地に到達する旅人にたとえられる。
 このような性質を持つ人は、菩提心を生じて大乗に従い、小乗の教えに頼らず、心に思うこともない。ただ大乗だけを心に抱く。このような人が、日月神通行の菩薩である。

 多学神通行の菩薩とは、あまり道には迷わないが、ある程度時間がかかって目的地に到達する旅人にたとえられる。
 このような性質を持つ人は、菩提心を生じて大乗に従い、大乗を信じ理解し、大乗の経典を読み、大乗の菩薩を尊敬する。彼はまた自ら大乗を求め、あまねく具足する。彼はまた命がけで大乗の菩薩を讃嘆し、心から敬い、供養する。また、まだ未熟な菩薩に対しても軽蔑しない。このような人が、多学神通行の菩薩である。

 如来神通行の菩薩とは、速やかに目的地に到達する旅人にたとえられる。
 このような性質を持つ人は、菩提心を生じて、甚深にして広大な大乗の意味を理解し、常に一切の衆生を救済するために、慈悲や菩提心をもって、六つのパーラミターなどの菩薩行に精進する。また他者をもことごとく同様の道に安住させる。このような人が、如来神通行の菩薩である。 

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