第七章 覚醒(1)
第七章 覚醒
無量の難行により、無量の善の集積により、
無量の時間をかけ、無量の障害を取り除いたが故に、
あたかも宝の箱が開かれた如くに、一切の障害から離れた一切種智を得ることがあり、それがブッダであるといわれる。
未曾有の難行をなし、無数の苦労をもって一切の善を集め、
世界の消滅と最上のヤーナのために大いなる時を経て、一切の障害が滅尽したから、
もろもろのステージに存在する微細なる障害を破りさる者に、
ブッダたるものが、あたかも大威力を有する宝の箱が開かれた如くに、開かれる。
ブッダとは、すべての法である。しかし一つの法もない。
またそれは白き法によってなるものである。しかし白き法によって説かれるものではない。
それはダルマという宝の因であるから、宝の箱にたとえられ、
善という穀物の因であるから、雲にたとえられる。
ブッダとは、すべての法である。あるいはすべての法を離れている。
極めて大きなダルマの宝を生み出すから、宝の蔵のようである。
すべての衆生に白き法を生じさせる極めて大きな因であり、
大きく広がって、無数の法の雨をすべての衆生に降らせるので、雲のようである。
ブッダとは、実に一切の煩悩から常に衆生を救済する。
そして一切の悪行から、また生死の輪廻からも救済する。
一切の災厄から、悪趣から、正しくない道から、
身体を自分と考える誤った見解から、また小乗から、救済する。
故にそれは最上の帰依処である。
その最上のブッダとは、無比の帰依処である。
種々の恐怖の中にある者の、間断なき種々の苦・悪趣・非法にある者の、誰からも守護されない者の、守護者である。
すべてのブッダのすべてのダルマによってその身がよく満たされたところの、
また、正法によってもろもろの衆生を救済するところの、
また、一切の衆生に対する慈悲によって解脱したところの、
そのブッダたるものが、この世における最勝の帰依処である。
世界の尽きるまで、すべての衆生にとって、
一切の不幸を取り除き、一切の幸福を与えるブッダこそが、
大いなる帰依処である。
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