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仏教修行者の基礎(5)「解放」


第三章 解放

◎世間道によって愛著を離れることに向かうこと

 たとえばここにある者がいて、欲界のデメリットを見る。
 その者は、遠離より生じ、喜と楽からなる第一静慮において、寂静を見る。その状態に長時間住することで、欲界から離れ、第一静慮に没入する。
 正しく第一静慮に長時間住することで、第一静慮よりも第二静慮の方が優れていることを見、第一静慮を離れ、第二静慮に没入する。
 このようにして順次、第二静慮、第三静慮、第四静慮、空無辺処、識無辺処、無所有処と上っていき、最終的に非想非非想処に入る。
 これが「世間道によって愛著を離れることに向かうこと」である。

◎出世間道によって愛著を離れることに向かうこと

 たとえばここにある者がいて、彼は、素晴らしき師に出会い、もろもろの聖なる法を学び、それらを理解する。
 また彼は、苦しみ・苦しみの原因・苦しみの滅尽・苦しみの滅尽に至る道という四つの真理を学び、それを如実に理解し、正しい智見をそなえる。
 そうして彼は聖なる道を修習し、三界におけるすべての法から解脱する。こうしてこの者は三界を超越する。
 これが「出世間道によって愛著を離れることに向かうこと」である。

◎資糧

 これら「世間道によって愛著を離れることに向かうこと」と「出世間道によって愛著を離れることに向かうこと」を実際に達成するためには、さまざまな資糧を積み上げる必要がある。その資糧とは何かについて、これから順次説いていこう。

◎資糧1 内的円満、外的円満、善法の決意

 これについては、第一章で説いたごとくである。

◎資糧2 戒律

 ここで修行者は、教えと戒律を学び、それにのっとって、時と場合に応じて、賢者・聖者・善人に非難されないやり方で、正しく行動し、正しく住し、正しく座し、正しく臥す。

 また、どんな微小な罪もおかすことを恐れ、日々自己の身・口・意の行動をチェックし、何か微小な悪業でも犯してしまったならば、すぐにそれを浄化する修行に励む。

◎善の加行

 そして修行者は、日々、次のような善の加行に励む。

①経典を読誦する。

②師を恭敬し、奉仕する。

③病人に奉仕する。

④慈悲心の修習と実践。

⑤布施をする。

⑥人々に法を説く。

⑦師に問うて、教えを聞く。

⑧神聖なる修行をともに行なう法友たちに奉仕する。

⑨人々に善の加行を勧める。

⑩蓮華座を組んで瞑想する。

 これらが「善の加行」と呼ばれる。これらを日々実践し、具足した者は、「行為円満の者」と呼ばれる。

 日々しっかりと戒律を守って生活し、「善の加行」に励むならば、浄信がなかった者には浄心が芽生え、浄信がある者はさらに増大する。
 また、心に嫌悪はなくなり、他者への誹謗の言葉などを発することもない。

 もしそうではなく、浄信が増大せず、心に嫌悪があり、他者への誹謗をするとするならば、その者はまだ戒律や善の加行を円満していないと知るべきである。

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