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仏弟子の物語(6)「サンブータ」

サンブータ

 今から一八〇〇カルパほど前に、アッタダッシンという正覚者が世に出現なさった。あるとき世尊アッタダッシンが弟子たちと共にガンガーを渡ろうとしていたとき、過去世のサンブータは、世尊アッタダッシンを一目見て信を起こし、世尊のために筏を作り、世尊と弟子たちを向こう岸に渡して差し上げた。

 この功徳によって彼は天界と人間界において生まれ変わりを続けた後、今から一三〇カルパ前に、人間界において偉大なる王となった。彼は多くの人々を幸福へ至る道に確立させて、そこから死に、今から九一カルパ前に、世尊ヴィパッシンの時代に人間界に生まれ、世尊ヴィパッシンのもとで出家して、頭陀の法を受持し、死体捨て場に住みつつ出家修行者のダルマを実践した。

 そしてまた世尊カッサパが世に現れたときも、彼は世尊カッサパのもとで三人の仲間と共に出家して、二万年の間、修行した。そしてそこで死んだ後、天界と人間界を輪廻し続け、世尊釈迦牟尼が現れた時代に、ラージャガハのブラーフマナの息子として生まれ、サンブータと名付けられた。そして成長すると、三人の仲間と一緒に世尊釈迦牟尼のもとで出家した。後に彼ら四人は、『教えにおいて優れた者たち』と呼ばれるようになった。

 またサンブータは、身体に対する念処の修行法を把握して、常に死体捨て場に住んだので、『死体捨て場に住む者(シータヴァニヤ)』として知られた。

 あるとき、ヴァイシュラヴァナ(毘沙門天)の大王が空を飛んでいるときに、死体捨て場で瞑想しているサンブータを見つけた。そこで大王は、侍者の二人の鬼神に、サンブータを守護することを命じ、また、もし彼が瞑想から目覚めたら、自分が来たことを伝えるようにと言った。

 二人の鬼神は、命令通りに瞑想中のサンブータを守護し、そして彼が瞑想から目覚めたときに、ヴァイシュラヴァナの大王が来たことを告げた。それを聞いたサンブータは、二人の鬼神にこう言った。

「君たちは、私の言葉として、ヴァイシュラヴァナの大王にこう告げなさい。
『世尊は、世尊の教えに従っている者たちの思念を守ってくださる。
 それだけが、私のような者を守ってくださる。
 ヴァイシュラヴァナの王よ、心配しないでください。
 世尊の教えに従っている者たちには、鬼神に守護をさせる必要はないのです』と。」

 鬼神たちにこう告げた後、サンブータは深い瞑想に入り、三明を得、アラハットの境地に達した。

 その後、そこにヴァイシュラヴァナの大王がやって来た。ヴァイシュラヴァナの大王は、サンブータの顔を見ただけで、サンブータが解脱を得たことを悟った。そこでヴァイシュラヴァナの大王はサーヴァッティに行き、世尊釈迦牟尼にそのことを伝え、またサンブータを大いにほめたたえて、こう言った。

「思念を守ることそなわり、堅固な心を持ち、心定まったサンブータは、
 世尊によって生まれ、三明を得、死の彼岸に至ったのだ。」

 さて、ある修行者たちが世尊にお目にかかりに行こうとしているのを知って、サンブータは彼らに、「私の名前で世尊の御足に礼拝して、世尊にお伝えください」と言って、次の詩を唱えた。

「一人で死体捨て場に入り、満足し、心の安定に住した修行者は、身の毛の逆立つことのない勝利者であり、身体に関する心の専注を守り続ける堅固者である。」

 そこで彼らは世尊のもとへ行き、サンブータの言葉を世尊に伝えた。
 それを聞いて世尊はこうおっしゃった。

「ビックたちよ、サンブータ・ビックは賢者である。彼は法に随順する法を実践した。そして法において私を悩ませない。その旨を、ヴァイシュラヴァナの大王が私に告げてくれた。」

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