yoga school kailas

ヨーガの基礎(3)

◎戒律の重要性

 はい、こういうねらいが実際ヨーガにはあります。もうちょっとだけ前段階の話をしますが、ヨーガはさっき言ったように、アーサナ、呼吸法、そして瞑想という大きなプロセスがあるわけですが――ここから先は参考までにですが、本来のヨーガはアーサナのもっと前があります。
 もっと前に来るのが「ヤマ・ニヤマ」というものですね。つまり「禁戒・勧戒」です。戒律のことです。これは現代の日本人にとっては、ちょっと難しいところも多いので、参考程度に聞いてください。ただ、この戒律を守った方がヨーガは進みます。だからそれはそれぞれの判断でやってください。
 一応項目だけ言いますね。まず――ちょっとこれは日本語としては難しいんですが、ちょっと原語で書きますと――「アヒンサー」といいます。このアヒンサーというのは、よく日本では不殺生とかいわれますが、殺生だけじゃなくて、つまり一切の生き物を傷つけないということです。もちろん虫も殺しちゃいけない。それからもちろん動物とかをいじめてもいけない。もちろん人間もそうだけどね。一切他の生き物をいじめてはいけませんよと。なぜそれがヨーガの修行に有効なのかは時間がないので言いませんが、今日持ってきた本にも書いていますのでよかったら買って行ってください(笑)。いろんな非常に深い意味があります。
 ヨーガの戒律は道徳じゃないんです。道徳的に、これは人間としてやっちゃ悪いことだからやっちゃいけませんよ――じゃないんです。論理的にヨーガを進める項目なんだね。
 一応全部言いますね。一番目がアヒンサー。そして二番目、不盗ですね。盗まない。これは大丈夫ですね。これは大丈夫だと思います。
 だからアヒンサーの場合は、現実的には家にゴキブリが出てもハエが出ても殺しちゃいけないということです。捕まえて逃がすのはいいよ。でも無益な殺生はしない。
 ただし、菜食主義者になれっていうことじゃないです。ちょっとまた話が広がっちゃうけど、ヨーガは最初のうちは菜食の方が進みます。ヨーガ修行がね。ただし絶対に菜食にならなきゃいけないわけじゃない。菜食になれっていう意味じゃなくて、自分が手を下して生き物の命を奪うとかいじめるとかいうことをやめるっていうことだね。
 はい、そして二番目の、ものを盗んではいけない。これは大丈夫でしょう。
 三番目はちょっと厳しくなりますが、「梵行」っていうんですが、これはつまり性的な禁欲です。つまりヨーガっていうのは、特に高度なヨーガになってくると、自分の生命力を――みんな聞いたことあると思いますが――クンダリニーであるとかシャクティーとか呼ばれるちょっと高度なエネルギーに昇華させるんだね。それによって体中の、普段人間が持っているエネルギーより一段階高いエネルギーを作り出す。その元になるのが、実は性エネルギーなんです。みなさんがセックスとかに使っているエネルギー。
 つまりこれも道徳ではなくて、非常に物理的な話なんです。つまり、その性エネルギーを使ってより高度なエネルギーに変換させようとしてるのに、元となるその性的なものを、高々セックスとかで漏らしていてはもったいないよと。だから少なくともしばらくの間、そういう達成をするまでは禁欲しなさいっていう考え方がある。
 ただこれも、現代においてはなかなか難しいところもあるだろうから、それはみなさんの判断で行なったらいいと思います。ただしできるだけ、単純に快楽を求めるようなセックスとか、そういうのはあまりやらない方がヨーガは進むと思います。

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