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パトゥル・リンポチェの生涯と教え(88)

◎パトゥルが食べ物を乞いに行く

 あるときパトゥルはいつものように遊牧民の格好で、食べ物を乞うために、裕福な遊牧民の在家者の家に行った。パトゥルのみすぼらしい姿を見て、その家の婦人は嫌悪感を示すかのように、服で鼻を覆った。そして娘を呼び、外に出てパトゥルにツァンパをあげるように言ったが、近づきすぎないよう警告した。
 婦人は言った。

「ツァンパをその人に投げてあげなさい。触れてはだめよ。何か伝染病を持っているかもしれないからね!」

 これを聞いて、パトゥルは大笑いした。

「完全なるものが、疫病をもたらすわけがないではないか。」

 パトゥルは指摘した。

「だが、心配はいらんよ。”わたしが持っているもの”を捕らえられるような者は、この辺には一人もおらんからな!」

 そのすぐあと、パトゥルは考えに耽った。

「そうだそうだ、ンガクチュンにいたときは、わたしはルントクを感化した。ゾクチェンにいたときは、オンポ・テンガをこびっとく叱ったと言われるかもしれんがな。」

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