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トンレンの応用


 トンレンというのは、ここでも何度も書いていますが、自分の幸福を呼吸とともに差し出し、苦悩を呼吸とともに引き受けるという瞑想です。

 さて、このトンレンは、座って瞑想としてやるのもいいですし、普段から日常においてやり続けるのもいいですね。
 そして、今日書きたかったのは、その応用として、自分が大変不安なときや苦しいときに、このトンレンを応用した瞑想が非常に有用であるという話です。

 たとえば、何か失敗をし、明日、怒られたり、恥をかくのではないだろうか、という不安が生じたとき。
 世界中で今、怒られるかもしれない、恥をかくかもしれないという人たちはたくさんいます。彼らの持つ、「怒られる」「恥をかく」というカルマを、全部引き受ける覚悟で、呼吸とともに、自分が吸い込むイメージをしてください。
 そして、自分の中の、「怒られない」「恥をかかない」「すべてうまくいく」というカルマ(徳)を、呼吸とともに、すべて彼らに与えてしまってください。「分け与える」のではなくて、自分の分は一滴も残さず、全部与えるイメージをするのです。
 ほどなく、あなたの不安は消えるでしょう。

 これは肉体的な病に対する不安とか、実際に何かで心や体が傷ついているときとかも同様です。たとえば誰かに裏切られて苦しんでいたら、世界中の人々のもつ「裏切られる」というカルマを、自分ひとりで引き受ける覚悟で、吸い取るイメージをし、自分の中の「裏切られない」というカルマを、一滴残らず、今、裏切られて苦しんでいる人々にささげるイメージをするのです。 
 ほどなく、あなたの苦悩は消えるでしょう。

 たとえば実際に体が病んで苦痛の中にいるときも、世界中の病で苦しむ人々の苦しみを吸収し、逆に自分の安楽を彼らにささげる瞑想をします。
 ほどなく、あなたの痛みや苦しみや不安や恐怖は弱まるでしょう、

 あるいは、欲求が強すぎて苦しんでいるとき。たとえば「認められたい」という欲求が強すぎる場合は、世界中の、「みなに認められず、賞賛されない」というカルマを自分ひとりで引き受け、自分の中の、「みなに認められ、賞賛される」というカルマを、世界の認められない人々に一滴残らず差し出すのです。
 ほどなく、あなたの心は安らかに静まるでしょう。

 例を挙げればキリがありませんが、トンレンはこのような応用ができます。そしてこのような経験を重ねることによって、

「すべての苦悩の原因はエゴであり、
 すべての幸福の原因は利他心である」

という真実に、うっすらと気付きはじめるでしょう。

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