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シュリー・チャイタニヤ・マハープラブ(11)

【サンニャーサ(放棄)の選択】

 カトヴァでは、以前から連絡を取り合っていたケーシャヴ・バーラティと共に暮らしました。正式なサンニャーシン(出家修行者)になるためにケーシャヴのところへ行きましたが、それを実現するまでにニマイは様々な困難に直面しなければなりませんでした。

 その頃、二ティヤーナンダをリーダーとした捜索隊が、ニマイがある出家修行者に面会したのではないかという推測のもとに、カトヴァに向かっていました。ケーシャヴ・バーラティは、自分がどうすべきかについて困惑していました。裕福に育ち、高齢の母と若い妻と共に暮らす顔立ちの良い青年は、あらゆる危険性を含んだ出家修行という放浪生活を選んだのです。金色に輝くニマイの立派な人柄は群衆を惹きつけましたが、ニマイは自分の周囲のことを感知できていませんでした。彼はクリシュナから引き離されたラーダーの感情と強烈な渇仰心にすっかり心を奪われており、世の足かせをすべて捨て、ヴリンダーヴァンへ行く必要がありました。ヴィシュヌ派における放棄とは、主と結ばれることを意味していました。

 ケーシャヴ・バーラティは当初、ニマイが自分より優れていたことと、母と妻の快諾がないことを理由に、ニマイをサンニャーシンとして正式にイニシエートすることを拒否しました。またナディアの信者と地元住民たちは全員でニマイの決意を阻止するために尽力しましたが、何もニマイを変えることはできませんでした。一切の世俗的足かせを放棄してクリシュナに会うためにヴリンダーヴァンへ行くというニマイの思いは、すべての観念や取り巻きの信者のことさえ忘れさせてしまうのでした。ニマイはその賢明な説得と放棄精神の迫力で、ケーシャヴ・バーラティを説得し、ケーシャヴは遂にニマイを出家修行者としてイニシエートしました。ニマイはクリシュナ・チャイタニヤという名を与えられ、人々の心にクリシュナ意識を呼び起こしていきました。

 発狂しそうなほどの憧憬に駆り立てられ、チャイタニヤはクリシュナに会うためにヴリンダーヴァンへ向けてすぐに西方へと旅立ちました。
 ラール地方では道に迷うまで五日間何も食べず休息もとらずに歩き続けた後、通行人にヴリンダーヴァンへの行き方を尋ねました。チャイタニヤを追いかけていた二ティヤーナンダは先回りをしてその地域の牛飼いの集団に会い、ハリ・ボロの歌を教え、またチャイタニヤにヴリンダーヴァンへの行き方の代わりにガンガーへの道を教えるよう指示しました。これが若い苦行者をアドワイタ・アーチャーリヤの故郷であるシャーンティプルにいざなう結果となりました。策略は成功し、チャイタニヤは通常意識を戻したとき、自分がシャーンティプルにいることに気付きました。

 このニュースは瞬く間にナヴァディープに広がり、直ちに結束した信者達は、出家修行者シュリー・クリシュナ・チャイタニヤとしてのニマイに会うため、シャーンティプルに向けて出発しました。
 シャーンティプルではハリ・ボロを叫び泣く声と熱狂的ダンスが止むことなく、ナディアの尊大な知識人たちまでもが、チャイタニヤが体現した放棄の力によって改心しました。
 二ティヤーナンダが、チャイタニヤの母親のサチをそこへ連れてきました。彼女もまた陽気なお祭りムードに参加し、アドワイタの家にチャイタニヤが滞在する10日間、自分の息子のために宴の食事を料理したいと主張しました。
 チャイタニヤは母に恩義を感じずにはいられなくなり、もし母親が切望するならナディアに帰って構わないと言いました。しかし気高い女性であったサチは、母としての自分の愛着よりも、出家修行者としての息子の評判のほうが大いなる関心だったため、ヴリンダーヴァンの代わりにニーラーチャル(ジャガンナート・プリ)へ行くことを条件として、息子がサンニャーシンとして出家することに全面的に同意しました。ニーラーチャルは、サチが息子のニュースを入手しやすく、必要であればチャイタニヤがベンガルを訪ねることもできる距離の場所でした。
 承諾を得たチャイタニヤは直ちに”ハリ・ボロ”と言って立ち上がり、二ティヤーナンダ、ムクンダ、ジャガダーナンダ、ゴーヴィンダ、ダーモダルとハリダースを同伴して、ニーラーチャルへ向けて足早に歩き出しました。

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