シュリー・チャイタニヤの生涯(9)
【ジャガイとマダイの改心】
ニマイと信者たちは、たいてい夜の屋内でハリ・キールタンを開催していました。信者はほとんどが低いカースト出身者だったため、階級や学識に慢心を持っていたブラーフマナ達の批判の的となりました。ニマイと信者たちは、家から家にクリシュナ・バクティの愛のメッセージを伝えることに従事し、それ以外のことに時間を浪費するべきではないと考えていました。
ニマイと信者たちはクリシュナ賛歌を歌いながら家々を訪ねてまわり、聖なる生活を激励してクリシュナ・バクティを広めていくことを決めました。多数の一般人は彼らの呼びかけに応えましたが、気位の高いブラーフマナ達は、ヴィシュヌ派信者たちを泥棒の回し者だと考えて、呼びかけに応じませんでした。
二ティヤーナンダは、もしジャガイとマダイを改心させることができれば、誹謗者たちの感銘を得ることができるのではないかと、ハリダースに話を持ちかけました。このジャガイとマダイは名目上の都市長官または警察官でしたが、実際には飲んだくれの乱暴者で、人々は彼らを手に負えないゴロツキとして扱っていました。
最初に二ティヤーナンダとハリダースがバクティのメッセージを持って行くと、ジャガイとマダイはおどけた様子で二人を追い払い、侮辱的に扱いました。二人はめげることなく、チャイタニヤを中心にした大きなキールタングループと共に再訪しましたが、ちょうど悪党達は昼の休憩をとっているところだったため、騒がしい音にひどく立腹し、大きなレンガの破片を一行の代表だった二ティヤーナンダとハリダースに投げつけました。二ティヤーナンダの体に破片が当たり、血がどくどく流れ出しましたが、二ティヤーナンダは主の御名を歌って踊り続けました。
そしてニマイがジャガイとマダイに話しかけようと近づいていくと、ジャガイとマダイは全身を震わせ始め、恐怖で唖然とした様相になりました。二人には、まるで猛烈で抗し難い火の玉が向かってくるように感じられたのです。伝記作家はこの火の玉を、ヴィシュヌ神の武器の円盤として知られているスダルシャナ・チャクラであると解説しています。
二ティヤーナンダは、彼らを破滅させる代わりに救済してほしいと主に懇願しました。主はすぐにそれに応じ、ジャガイとマダイを抱擁しました。そのひと触れは二人のゴロツキを清らかな人格へと変えたのでした。
こうして主に全ての罪の重荷を預けたかつての悪党は、いまや後悔の念に悶え苦しみ、地域の全住民に許しを乞いたいと願っていました。そして過去の悪行の罰として、数日間地域の最大の沐浴場で寝泊りし、人々に自分たちを足踏みするよう切望しました。やがて彼らは個人的労働として川沿いにマダイガートを作りました。この沐浴場は現在も存在しています。
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