yoga school kailas

アディヤートマ・ラーマーヤナ(25)「カイケーイーの改心と賛美」

◎カイケーイーの改心と賛美

 バラタが軍隊、グル・ヴァシシュタ、弟のシャトルグナ、母たち、そして大臣たちと共にアヨーディヤーへと帰還しようとしていたときであった。
 ちょうどそのとき、カイケーイーがひどく苦しんだ様子で、眼から涙を溢れさせながらラーマを側に呼び、ひそかに彼にこう言った。

「ああ、ラーマよ! 迷妄の魔力に取りつかれ、私の邪悪な心はあなたのユヴァラージャとしての即位式を妨害してしまいました。私は私がそれによって犯してしまった悪事に対する許しをあなたに懇願いたします。許しは善人のまさに特質であります。
 あなたは真に、誰の目にも明らかでない本性をお持ちの至高なる魂、永遠なる実在者であられるマハーヴィシュヌであられます。人間の姿をお取りになることで、あなたは御自身の正体を隠しておられるのです。人はあなたの御指示の下でのみ、善悪の行為を行います。
 この全世界はあなたの御意思に支配され、一切の自由がありません。まるで操り人形が、見えない糸を引く隠れた導き手に従って踊るように、そのようにこの多種多様のマーヤーという踊り手は、あなたの御意思によって操られているのです。私も神々の目的の成就のためにあなたの御計画の一部として、あなたによって動かされたのです。
 私の悪しき心の影響の下で、私はこの罪深き行為を行いました。今では私は一切の者の中に内在する魂であると、あなたを理解しました。神々の知性をも超越したあなたを・・・・・・。
 私をお救いください、ああ、無限なるお方よ、あなたは主であり、世界の守護者であられます。どうか、崇高なる真我であられるあなたの叡智という剣で、息子、富、そしてその他の世俗的な対象への執着の束縛をバラバラに切り刻んでください。私はあなたに帰依し奉ります。」

 これらのカイケーイーの言葉を聞くと、ラーマは微笑んで、彼女にこう仰った。

「ああ、気高き女性よ! たった今あなたが言ったことは、紛れもない真理であります。あなたの口から出た言葉は、私の意思の下で現象化したのです。
 神々の目的の成就のために私が意思した、あなたの願いの選択などによって、あなたが罪を受けることはありません。ゆえにあなたは安心して帰路につくのです。あなたの心を常に私への思いに没頭させるのです。一切の世俗的な対象への執着を放棄し、私に心を込めて献身するのです。この生き方に従うことで、あなたはすぐに解脱を得るでしょう。
 私は一切の生類を同様に見ています。私にとっては敵も味方もないのです。私は天の樹カルパカ・ヴリクシャのようであります。その下に行く者は誰でも欲するものを得、そしてそこから外れて近づかない者は皆、それらの恩恵を得ることはできないのです。
 自己を空しくして私に自らを明け渡した者たちには、私は私自身の姿を明かすことによって返答します。心が私のマーヤーによって曇っている者たちは、俗世間の幸福と苦しみに支配された人間として私を見るでありましょう。彼らは真理においての、そしてリアリティにおいての私を知らないのであります。
 幸運なことに、人を輪廻の生から解放する悟りは、あなたに明かされたのです。あなたのダルマを遂行しながら、しかし常に私のことを思いだしながら、家で暮らすのです。それはカルマがもたらす果報を追い求めたいという切望の束縛からあなたを救ってくれます。」

 ラーマのこれらの言葉を聞くと、カイケーイーは驚嘆と歓喜に満たされた。彼女はラーマの周りを回り、数回彼の前で礼拝した。それから彼女は心の中を平静にして、宮殿に帰って行ったのだった。

◎帰還後のバラタ

 程なくして、気高きバラタは、グル、母たち、そして大臣たちと共にアヨーディヤ―に到着し、ずっとラーマのことを思い出していた。アヨーディヤーの民たちの住居と統治に必要な一切の準備を整えた後、彼は自分の意志でナンディグラーマという村へ行った。そこで彼はラーマの象徴として日々花やサンダルの粉などを供えて、そして王家の記章として考えられる一切のものを供えて礼拝するために持って帰ってきたラーマのサンダルを恭しく王座に奉った。彼の食事は根と果物であり、彼の身なりはというと、木の皮の衣を着て、髪をジャータにしたのでった。彼は裸床で眠り、厳格に禁欲の戒を順守した。シャトルグナも彼に倣った。彼はまず、ラーマからの指示に従っているというしるしとして、ラーマのサンダルの前で国の実務を説明した後にそれらの一切を行った。ラーマの帰還の日を指折り数えながら、彼はすべての心を完全にラーマに明け渡し、ブラフマーリシのように暮らしていたのであった。
 

◎アトリのアシュラムにおけるラーマ

 さて、ラーマはチトラクータの苦行者の集落の中で、シーターとラクシュマナと共に庵に暮らしていたのだが、そこでは長くは暮らし続けなかった。なぜならば、ラーマがチトラクータ山に暮らしていると知って、地方から多くの人々が、ラーマに会いたいという切望のゆえに、その場所に訪れ始めていたからである。群衆から混乱を取り除くため、そしてまた彼の森への追放の根本的な目的の成就のために、彼はチトラクータの住居を捨て、ダンダカの森へと向かった。
 その途中、彼はシーターとラクシュマナと共に、たいそう人里離れたところにあり、一年中人間が滞在できる設備を備えた聖仙アトリのアシュラムに到着した。
 そのアシュラムには、その輝きによってその場全体を照らしている聖仙アトリが座っていた。ラーマは彼の前で礼拝すると、聖仙に自らの名を名乗り、こう仰った。

「私はラーマであります。あなたに私の挨拶を捧げ奉ります。
 私の父の命に従い、私はダンダカの森へとやって参りました。森の生活という名の下に、私はあなたという聖者様に出会うという好機を授かりました。」

 このラーマの言葉を聞いて、彼をシュリー・ハリ御自身であると理解した聖仙アトリは、偉大なる信仰心をもって、非常に温かく彼らを歓迎した。
 彼は森の果物を捧げて、彼らを手厚くもてなしたのだった。ラーマとシーターとラクシュマナを座らせると、聖仙はこう言った。

「アシュラムの中には、長年苦行を行い、ダルマの深い叡智を有し、それを守ってきた私の歳とった妻アナスヤーがいます。おお、敵を滅ぼす者よ! シーターを中に入れて、彼女に会わせてください。」

 ラーマは聖仙に懇願された通りにするようにシーターに言った。
 彼はこう仰った。

「ああ、善良なる女性よ! 中に入って、聖なるアナスヤー様に挨拶し、すぐに戻って来なさい。」

 そしてシーターはそれに従った。
 聖なるアナスヤーは、彼女の前で完全なる礼拝を捧げたシーターに会えたことを非常に喜んだ。彼女のことを「愛しきシーター」と呼び、偉大なる信仰と共に彼女は、ヴィシュヴァカルマによって作られた二つの天の耳飾りと二枚の愛らしい絹を彼女に捧げた。そして同様に、彼女はこの言葉と共に、身体に塗る比類のない粉を捧げたのだった。

「おお、蓮華のお顔をされたお方よ! この粉を塗ることで、あなたの身体の輝きはずっと衰えないでしょう。おお、ジャナカの娘よ! 貞淑なる妻のダルマに従い、ラーマに仕えるのですよ。どうかあの偉大なるお方がすぐに、あなたと共に御自身の宮殿に帰還せんことを!」

 その後、聖仙アトリはラーマとシーターとラクシュマナに豪勢な食を施し、合掌して礼拝すると、こう言った。

「おお、ラーマよ! あなただけがこのすべての世界の創造者であります。それらを創造した後、あなたは維持のために、そして秩序正しい成長のために、デーヴァ、人間、動物の一種の中に、化身として顕現されるのです。このように化身されるにもかかわらず、肉体の性質はあなたに影響を与えません。一切を迷妄にするマーヤーはあなたを恐れて、あなたから離れているのです。」

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする