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「解説『スートラ・サムッチャヤ』」第12回(6)

◎不必要な殺生をしない

 はい、じゃあキリがいい感じなんでね、今日はここで読むのは終わりにして、じゃあ最後に質問があったら質問を聞いて終わりにしましょう。全体的に、今日の話と関係があってもなくてもいいので、質問ある人いますか? 

(M)すみません。あの、全然今日の話と関係ないんですけど、経典で殺傷はいけないって書いてあるんですけど、ゴキブリとか殺しちゃいけないんですか?

 え、駄目だよ(笑)。

(一同笑)

(M)……はい(笑)。

(一同笑)

 あの、そうだな、じゃあそれは基本的な話なんでね、新しい人もいるんで言うと、不殺生の教えね。不殺生の教えは――不殺生の教えもさ、なんていうかな、極端なところまで追究する必要はない。極端なまで追究――あの、これはさ、皆さんも聞いたことあるかもしれないけど、仏教と同時期に始まったジャイナ教っていうのがあるんですね。ジャイナ教と仏教って結構似ているんですけど。ジャイナ教って、ジャイナ教の中でもいくつか派があって、その中で――名前なんだったっけな? まあとにかく裸の行者達の派があるんだね。この裸の行者達の派っていうのは、非常に極端なグループなんですね。どういうふうに極端かっていうと、仏教と同じように不殺生っていうわけだけど、いつもこう口に布をつけているんだね。それはなぜかっていうと、細かい虫が口から入って死ぬかもしれないと言っていつもこうつけていると。あるいはその、いつも濾過器を持ち歩いているんだね。普通だったら水――飲める水だったらね、インド人とか普通にその池の水とか普通にくんで飲むわけだけど、微生物がいるかもしれないと。だから濾過して飲むっていうんだね。
 面白いのが、あるヨーロッパのジャーナリストがね、インドに行ってジャイナ教の取材をしたときに、真面目なそのジャイナ教徒がね、濾過器を説明してね、「これで微生物の殺生をしないんです」とか言ってたら、そのジャーナリストがその濾過器を見て、「これだと(微生物)入りますよ」って(笑)。

(一同笑)

 そしたらその修行者が青ざめちゃってね。つまりそれだけ真剣に考えていた。「ええ!」って。「駄目なんだこれも!」みたいな(笑)。

(一同笑)

 でもさ、それは限界があるんだね。何が限界があるかっていうと、いつも言う話だけど、例えばそんなこと言ったらわれわれは生きられない。っていうのは、歩いてても虫踏むでしょ、普通に。あと車運転できないよ。車運転してたら普通に多くの虫を踏んでいるでしょう。だからそこまで考えたらわれわれは何もできなくなってしまう。しかしですよ、ゴキブリは殺さなくても大丈夫だよね。そういう問題なんです。うん。
 つまりわれわれが本当にその、虫踏んじゃうから車運転しないとか、虫踏んじゃうから外出しない、までいってしまうと、意味のない極端。なんでかっていうとさ、メリットとデメリットの話でね。例えばそんなこと考えるよりも、もっともっと徳を積むとか、もっともっと人々のためになることを為すとかね。まあ例えばですよ――ちょっと極端な話を言ってみますよ。みんなに教えを説きにいくと。ね。教えを説きにいくと、それによってみんなが救われるかもしれない。でも外出すると虫踏んじゃうからいやだと(笑)。これ意味ないよね。つまり外出で虫踏むかもしれない可能性を恐怖するよりは、当然その教えを説くことによるみんなのメリットを取った方がいいわけだね。こういう意味ですね。
 こういう意味ではあまり極端には考える必要はないんだけど、ただ――何度も言うよ。ゴキブリは殺す必要はないです、わざわざね。つまりわれわれは、つまり現代人っていうのは、自分の安楽を追求し過ぎちゃって当たり前のようになっているものがたくさんある。何度も言うけども、例えば害虫の場合ね、害虫の場合しょうがないのもあるかもしれない。わたしは害虫も殺さないけども。例えばわたしは、インドでも日本でもね、蚊に刺されると――これは皆さんにもお勧めしますけど、もし蚊に刺されたら、最後まで吸わせてください。その方が楽です。わたしも何度も経験がある。夜とかさ、蚊に刺されて、で、無意識に払っちゃうじゃん? 朝いっぱいできているよね、刺され跡が(笑)。でも一回、「あ!」 っと思って最後まで刺させてあげると、一回で終わる(笑)。刺された跡も一個しかないっていうかな。つまり蚊ってさ、最初にあのかゆい液体を出して、そのあとに吸うんだよね。うん。だから中途半端で逃がしちゃうと、かゆい液体ばっかりが……(笑)。

(一同笑)

 まあそれはいいとして(笑)。例えば蚊ぐらいだったら別に――わたしはですよ、わたしは吸わせてあげる。インドでも吸わせてあげます。もちろんインドの場合はいろんなね、病原菌持っている場合もあるから危険な場合もあるよね。だから皆さんがもしインドに行った場合、もちろん吸わせろとは言わないよ。それは皆さんの考えだから。あるいはインドに行って、もしものすごい蚊がいっぱいいてね――まあインドはまだあれだけど、例えばアフリカとかに行って、マラリアとかね、いろんな危険な蚊がいっぱいいるときに、それをちょっとこう駆除する人がいたとしても、まあそれはしょうがない場合もあるかもしれない。ある場合はね。あるいは皆さんの環境に応じてね、どうしても害虫を駆除しなきゃいけない場合があったとしたら、それはまあそれでしょうがない場合もあるかもしれない。でも日常生活においてそんなに殺す必要性がない虫を普通に殺すとかね、それが当たり前っていうかそうしないと駄目なんだっていう気持ちとか、それはちょっと間違った現代的な観念なので――ゴキブリの問題っていつも出る問題なんですけどね。それは殺さないようにしてください(笑)。ゴキブリはね。うん。……ゴキブリってなんか害あるのかな? 汚いのか。病原菌を運ぶのかな? わたしは前――何回も同じ話しているけど(笑)、

(一同笑)

 わたし、一人暮らしして貧乏だったころによくゴキブリが出てね。ゴキブリが、あの……わたしのおかずとかを食べてる。つまりその、ゴキブリってさ、すぐ繁殖するからDNAがすぐに受け継がれるのか、ゴキブリをかまわないでいるとなんか堂々としてくる。あんまり逃げなくなってきてて(笑)。で、わたしもゴキブリを駆除しなかったから、ゴキブリが逃げないでやってくるんだね。あのちっちゃいゴキブリですよ。でかいのじゃなくてちっちゃいゴキブリがこう、よくわたしが食事を始めると、「食事だあ!」みたいな感じで(笑)、

(一同笑)

 来て、たかり始めたりするんだね(笑)。よく友達とかがうちにきてね、食べてたらゴキブリがわたしのおかずに来て、「おい、ゴキブリいるよ?」「ああ、そうだな」(笑)。「ゴキブリの邪魔するな」って、そういう会話があったりしたけど(笑)。その程度のものでいいんだね、本当はね。
 例えばそこでなんていうか、もう一回言うけども、そうだな、お店をやっているとかね。例えば特に食事関係のお店をやってて、当然ゴキブリが出たら客が来ないと。あるいは保健所になんか言われてしまうと。その場合はまあ駆除っていうか、殺す必要はないけども、何かゴキブリが来ないような工夫をするとかね。そういうのは大事かもしれないね。
 でも何度も言うけども、あまり必要もないのに、あるいは単に自分の気持ち、嫌だっていう嫌悪の気持ちでは、ゴキブリに限らずね、虫とか生き物を殺さない方がいいね。はい。
 逆に助けるようにしたらいいです。助けるようにっていうのは、これは皆さんもやっているかもしれないけど、例えば――これもね、極端にまでやる必要はないんですよ。例えばあの、よく東南アジアとか中国とかで、よくそのペットショップとかで鳥とかを買ってきてね、それを放してあげるとかそういうことをやるみたいだけど、そこまで別にやる必要はないかなっていう感じはする。じゃなくて、普通に歩いていたら、よく夏とかさ、ミミズとかがさ、川沿いの道とかをたぶん渡ろうとして、途中で力尽きて、干からびたりしてたりするよね。そういうのがいたら、「あ、やばい!」と思ってこうつかんであげて、湿ったところに置いてあげるとかね。そういう命を救ってあげるのはとてもいいことだね。うん。だからそういうのは心がけてやったらいいと思う。
 

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