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「解説『スートラ・サムッチャヤ』」第六回(11)

【本文】

⑰博学な教師が、嫉妬によって自分が持っている深遠な教えを隠すことは、魔事である。

 はい。つまり、博学な教師――つまり自分は、深遠な教えも含めたくさんの教えを持ってると。しかし――これは教師じゃなくてもいいんだけど、皆さん自身でもいいんですけども――これを例えばほかの人に教えたら、その人も博学になるから、ちょっとそれは、なんていうかな、妬ましいっていうかな。つまりその、自分だけが知っている状態でありたいと。つまり自分はこんなに知ってると。みんなは知らないと。これを教えちゃったら、みんなも知ってる状態になるから、それはちょっと嫌だと。これは、こういう状況が働くとしたらそれは魔事だということですね。
 ――わたしはよく、逆によく言われるけどね、わたしよくその、ミクシィとかでよくマイミク申請受けるわけだけど、マイミク申請受けるときの、よく多くの人が言ってくる言葉があるんです。どういう言葉かっていうと、「こんなに明かしていいんですか?」っていう(笑)。よくあるんだね。つまりその、ちょっと、「足跡からきました」とかいって、「興味深い教えをなんかいっぱい明かしてますね」と。「こんなに明かしちゃっていいんでしょうか、驚きました」っていう人がよくいる。「こんなに明かしていいんですか」って言われたりするわけだけど、それはもちろんね、明かしてはいけない秘密の教えっていうのはもちろんあるわけだけど、そうでない限りは、当然なんていうかな、できるだけ多くの人がそれに目を触れてね――っていうのは、わたしも本当に仏教関係、ヨーガ関係、いろいろこう発信してるわけだけども。もう、うざいくらいに発信してるわけだけども。「今日の聖なる言葉」とかいって(笑)。「それ、前読んだよ」っていうやつを何回も発信してるわけだけど。つまりその、なんていうかな――そこでさ、偶然見る人とかいるよね。で、偶然見て、例えばある人は、シャーンティデーヴァの教えを見ても全く響かないと。でも『バガヴァッド・ギーター』見たら響く人もいるわけです。だからそういう人のために、こうバンバンこう出しているんだね、いろんなかたちでね。どっかに引っかかればいいと。
 だからその、小さな……例えば「自分はなんのために教えを学んでいるか」と。それは自分のなんていうかな、傲慢さ、あるいは優越感を増すためなのかと。いや、そうじゃないと。自分自身、そして自分と縁のある人々を、できるだけ幸せにするために、あるいは高い状態に引き上げるために学んでいるんだと。修行してるんだと。そういうようなその意識っていうかな、その自己認識を常に持たなきゃいけないんだね。そうすると当然、教えっていうのは――もちろんケースバイケースでなきゃいけないんだけどね。全然相手に合わない教えをバーンってぶつけてもしょうがないから。でも少なくとも、隠すっていう感じにはならないね。できるだけその、皆さん学んでくださいと。できるだけこれを知って――まあ、ここにいるみんなもそうだろうけどね。ここにいる皆さんもおそらく、「ああ、この素晴らしい教えを多くの人に知ってほしい」ってたぶん思うと思うんだね。それはそれで素晴らしいことです。それをそうじゃなくて、自分だけが知ってて、優越感を持ちたいっていうのは駄目だっていうことですね。
 あの、逆パターンもあるよ。逆パターンっていうのは、これはよく聞く話なんだけど、例えば皆さん――まあ、ここにいる皆さんはカルマがいいからさ、例えばそうだな、なにがあるかな、一番カイラスで人気がある本っていうのは……例えば『菩薩の生き方』ってあるけど。例えばね、これは皆さんもちろんそうだけど、地方講習会とかでもね、やっぱり縁のある人がいて、わたしに言ってくるんだね、「この『菩薩の生き方』ってすごいですね!」と。「こんなの目からウロコでした!」と。『菩薩の生き方』ってうか、『入菩提行論』自体がね。「これはもう、わたしもいろいろ読んできましたが、これは本当にこんなのがあるとは思いませんでした!」と。「絶対広めた方がいいですよ!」――で、次の講習会とか行ったら、その人がトボトボしながら来て、「みんなに広めたんですけど全然分かってくれないんです」と(笑)。「みんなにすごい勧めたんだけど全然駄目でした」。――つまりもう、「これは絶対感動した!」と。「みんなに広めなきゃ!」――でも、その人のカルマの段階に応じて感動してるだけであって、ほかの人は全然駄目な場合もあるんだね。うん。これは別パターンね。
 でもまだこれはいい方です。これはまあ、健気っていうかな、なんて言うかな、微笑ましいっていうか(笑)。これはいいんだけど、そうじゃなくて、もう一回言うけども、自分の優越性を保ちたいっていうその狭い考えによってね、教えをその広めない、相手に与えない、っていうのがあるとしたら、当然、当たり前だけどね、それは魔事ですよってことですね。
 はい、じゃあ次。

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