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◎普遍的な教え

【本文】
世の人々は、行為の成功と果報を求め、それを得るためにさまざまな神々を拝む。
そのようにすればたやすく物質界における果報が得られるからである。

私は人間世界を四つに分け、グナとカルマに応じて四階層を作った。
しかし私自身は、不為、不動、不変の超越者であることを知るがよい。

私はどんな行為にも影響されず、どんな結果も求めてはいない。
私のこうした真実の姿を知る者は、行為の結果に縛られることはないだろう。

解脱を求める昔の人々は、すべてこの真理を理解して活動していた。
ゆえに、君も先覚者たちが昔からしてきたように、それと同じ意識をもって、なすべきことを遂行しなさい。

 はい。まず、
「世の人々は行為の成功と果報を求め、それを得るためにさまざまな神々を拝む。そのようにすればたやすく物質界における果報が得られるからである」
と。
 これは前の文章ともつながっているわけですが――ちょっと前の文章から説明すると、
「私に身と心を委ねる程度に応じて、私はその帰依者に報いる。人々は、あらゆる道を通って私のもとへとやってくる。」
 このあらゆる道っていうのが、これからずっと後に説明されてくるのですが、つまりこのバガヴァッド・ギーターの思想っていうのは、実は、あらゆるタイプの修行、あるいは宗教を認めているんです。バガヴァッド・ギーターっていうのは、インドで一番信仰されている経典と言ってもいい。一番信仰されているっていう意味は――もちろん仏教の人は読まないけども、ヒンドゥー教に属する人たちはどの派であろうとも、すごく重要視するんだね。
 つまりバガヴァッド・ギーター自体が、何かの派の教えっていうよりは、普遍的な教えなんです。
 ここでもそのあらゆる道を通って私のもとへとやってくるっていうのは、あらゆる修行法がありますよと。あらゆる考え方がありますよ、ということだね。
 ちなみにバガヴァッド・ギーターは、インドの大乗仏教に大きな影響を与えたと言われています。例えば『法華経』とか、『大乗起信論』、あるいは前にも書いたけども『入菩提行論』とかもかなりバガヴァッド・ギーターの影響を受けていると思うね。それだけインドの宗教界全体にかなり影響を与えた経典であると思うね、これはね。

◎クリシュナの真実の姿

 はい、そして、
「私に身と心を委ねる程度に応じて」
とありますが、つまりまだレベルの低い信仰者っていうのは、エゴを満たすために神への帰依っていうのを行なうわけだね。
 つまり、私はお金持ちになりたいですと。よって神様どうかかなえてくださいと。で、そのためならば私は、これくらいのものを捧げますと。これも一つの帰依なわけだけど、まだギブアンドテイク的っていうか。しかも捧げると言ったって、人生のすべてを捧げるんじゃないだろうし。ある程度のものを捧げて、現世的な結果を得ると。こういう人もいるっていうことだね。
 で、その他のことに関しては、この後の方でまたいろいろと出てきます。
 はい、
「私は人間世界を四つに分け、グナとカルマに応じて四階層を作った。」
 これはインドの四つの階級ね。奴隷、庶民、武人というか政治家というか――クシャトリヤだね。バラモン――お坊さんの階級ね。この四つに分けましたと。しかし私自身は不為――つまりこのクリシュナ自身は、一応クシャトリヤになるのかな? クリシュナも一応は人間として生まれ、階級に制限されたように見えるけども、その正体は全く不為――何もなすことはなく、何も不動であり、そして全く変化のない超越者なんですよと。それはさっきから言っていることですね。
「私はどんな行為にも影響されず、どんな結果も求めてはいない。私のこうした真実の姿を知る者は、行為の結果に縛られることはないだろう」
と。
 そして解脱を求める昔の人々は、すべてこれを理解してきたと。君もそのようにしなさいと。
 ちょっとまだ曖昧なんですが、この辺の具体的な教えが、これから先にずーっと説かれていきます。はい、ちょっと今日は重要で、かつ難しいところだね。

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