「私が見たアドブターナンダ」より抜粋(9)
この時期のおかしくも真のバラナゴル僧院の全体像が、ヴィヴェーカーナンダの弟であるシュリー・マヘンドラナートダッタによって描かれている。
「僧院の家は、とても古くて荒廃していた。地下の部屋の床は沈んでおり、ある箇所では床下にまで沈み込んでおり、蛇やジャカルの住みかになっていた。
一階に下りる階段の段のほぼ半分はなかった。二階の部屋の床の表面は、一角は見え、一角は下にある小石がむき出しになっていた。扉の雨戸と窓は、ほとんどなかった。
屋根の垂木はほとんど落ちてしまっていて、割れた竹でレンガを支えていた。僧院の周囲は茨の茂みで覆われていた。それは噂通り、本当にお化け屋敷だった。階段で一階に行くと、右側にいくぶん大きな部屋がある。――それはカーリー・ヴェーダーンティンの部屋だといわれている。
そして階段をもう二段上がったところに、他の部屋へと続く入り口である小さな扉がある。もう少し進むと、目の前に小さな部屋の聖堂があり、その前には閉鎖された玄関があり、その西側には大きな広間がある(みんなは悪魔の広間と呼んでいる)。
広間を通り抜けると、その北西側には、飲み水を蓄えたり、みんなで食事をしたりする小部屋が一つある。この部屋のもっと北西側にはトイレがある。食堂の東側にはキッチンがある。コシポルのガーデンハウスで師が使っていた品々は全部聖堂に保管されている。みんな床の上で寝ている。簡易ベッドを所有するなんて贅沢は考えられない。敷物のようなものが2~3枚――敷物なんて呼べないくらい粗末なもの――を縫い合わせて絨毯にし、『悪魔の広間』の床に敷いている。広間の隅には、安心して泥棒にさえ預けられるほどのドゥッリ(絨毯)が巻いて置いてある。その敷物の縦糸がこっちにあると、横糸はあっちにあって、その二つが時々会釈し合っている――つまり、海で大きな魚を捕まえるために漁師が使う網のような感じだ。それから、枕? そんなものは必要ありません! 彼らは『悪魔の広間』に使っていたマットのようなものを、石のように柔らかいカルカッタのレンガの上に敷いていた。これらが彼らの部屋と家具である。」
この僧院で、ラトゥ・マラハジは『悪魔の広間』に席を陣取っていた。
ある日、チャプラ地区の男(かつての彼の保護者であった彼の叔父だと思われる)が来て、彼の故郷の村を一度訪れてほしいと言った。このように要求されたとき、ラトゥは、彼がよく使っていた言い回しで返答した。
「あなたは自分のダルマを行いなさい。僕は自分の道を知っています。」
ラトゥが強い語気でこのように言ったので、その男は重い心持ちで僧院を去った。彼が去った後、何人かの同胞の弟子達は、彼は本当に君の叔父さんなのか、と尋ねた。ラトゥは言った。
「この僧の叔父はみんな死んだよ。 」
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