「悪い妄想について」
◎悪い妄想について
(U)時々、日々の生活で気分がすごい落ち込んでいるときとかに、悪い妄想が出てきて、その妄想が膨らんで、膨らんでいってそれに流されていくときがあるんですけど、そういうとき、「あー、だめだなー」って思うんですけど、なにか良い方法ないですかね?
そうだねえ、それはいろんなやり方があると思うけど、やっぱり一番簡単なのはマントラ。または詞章ね。まだマントラ教えてないかもしれないけど……例えば「オーム・マニ・パドメー・フーム」――観音様のマントラね。これ唱えたらいいよ。これを普段から唱える。心の中でもいいから。で、変な妄想が出そうになったら、「オーム・マニ・パドメー・フーム、オーム・マニ・パドメー・フーム」……それは一つの方法だね。
あとは呼吸法ね。できるだけなにも考えないようにして、呼吸法に励むとか。
あとは普段の他の瞑想がどれだけ積み重ねられるかだね。例えば慈悲の瞑想とかね。慈悲の瞑想はよくやってるんだよね?
(U)はい。
あれを日々たくさんやってたら、そういう変なのが出そうになったときも、それを思い切ってやってみるんです。ちょっとやりにくいかもしれないけど。それによって、まったく逆のイメージだから、それは。打ち砕けることもある。
今U君が言ったことっていうのは、まさにバルドと同じなんだね。変な妄想が出てきちゃって、膨らんでっちゃうと。それはまさに死後の世界とまったく同じで、それにいかに対抗するかっていうのをいろいろやってみるのは、すごく有益なことだね。
それは誰だって最初はさ、対抗できないんです。その状態から日々修行を日々進めることで、だんだん対抗できるようになっていって。で、それが自由自在になったころには、もう死後の世界は自由自在だと。
あともう一つアドバイスとしてはさ、できるんだったらですよ、できるだけ小さなとこから刈り取ったほうがいい。妄想って最初小さいじゃないですか。だんだんだんだん、「まあ、これくらいはいいか」ってやってるうちに、もう取り返しがつかないような怪物になってしまうっていうか。だから最初のうちからもうスパッと切るんです。「駄目だ」と。モアーッて出てきたら「いや、仏陀だ」と。「いや、クリシュナだ」と。あるいは「慈悲の瞑想だ」と。
で、これはね、絶対できるようになるんです。なぜかというと人間の精神状態っていうのはすべて訓練なんです。今そういうふうに妄想を抱くようになったのも、過去世とか過去から妄想を繰り返してきたからだと。それがだから成就しちゃってるんだね。だからその逆のパターンをやっていけば、最初はやりにくいんだけど、絶対できるようになるんです。それが修行っていえば修行なんだね。それはいろんなやり方を試してみたらいいかもしれないね。
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