yoga school kailas

「四つの再生と渇愛」

◎四つの再生と渇愛

【本文】
 地獄や天などに瞬間的に生まれる者は、その生まれることになっている場所に対して渇愛を感じる。
 湿った場所で生まれる虫などの場合は、その場所のにおいに渇愛を感じる。
 胎生や卵生の場合は、父と母が性交している場面に渇愛を感じる。女性として生まれる者は父に愛著を感じ、母に嫌悪を感じる。男性として生まれる者は母に愛著を感じ、父に嫌悪を感じる。

 これはよくいわれることですね。まず「地獄や天などに瞬間的に生まれる者は」――地獄や天っていうのは瞬間的な再生をします。つまりお腹から出るとかそういうかたちではなくて、例えば天に生まれるとしたら、死んで、ある程度そのバルドの状態を通った後に、パッと生まれる。
 つまり、ここが天だとしたらね、みんなで天界で楽しくやってたら、いきなりパッと登場して(笑)、「あ! T君来た」「ああ、T君よかったね」という感じで(笑)、パッと瞬間的に登場する。ね。で、地獄も同じ。地獄も、地獄に落ちるときも、地獄界にパッと登場しますよと。
 はい、そして、その生まれる前、つまりその霊的な存在の状態で、その世界に愛著を感じる。つまり天に生まれる者はまずその天の光景が見えてきてね、「ああ、あそこいいなあ」って思って生まれるんだね。で、地獄も同じなんです。地獄は苦しい世界のはずなんだけど、もうカルマ的にそこに結び付けられてるから、そこに強い愛著を感じちゃうんだね。例えばよくこういうたとえ話――たとえっていうか実際のイメージなんだけど、こういう話があるよね。ものすごい体が熱くなってきて、「うわー! 熱い! うわー!」、バルドでね、バルドでうわーって熱くなって、で、目の前に雪山が見えると。涼しそうだと。「ああ! 涼しそうだ! あそこに行きたい!」って飛び込んだら、寒冷地獄と。例えばね。あるいは逆に、非常に体が冷えると。ものすごい寒い。で、遠くにあったかそうな炎が見える。「ああ、あったかそうだ。あそこだー!」って飛び込んだら熱地獄と。つまりこういう形でどんどん地獄に引きずり込まれていくんだね。
 だからね、ちょっとここで一つ今の話をね、ヒントに言うと、みなさんが地獄に落ちない一つの訓練。寒くても暖房つけないと(笑)。あるいは暑くても冷房入れない。まあこれはもちろん程度問題だけど、現代の人みたいにすぐ、例えばちょっと寒いと暖房入れるとか、あるいはちょっと暑いと冷房入れるとか、あるいはもうちょっというと、苦しみから逃げる心なんだね。「あ、この状態嫌だ!」と思ってその逆の快楽を求める心。これがわれわれの中に癖として根付いちゃってると、死後の世界でも当然その態度に出る。
 つまり、地獄の正体っていうのは嫌悪なんです。嫌悪ね。「嫌だ」っていう気持ちなんです。つまりわれわれの中にこの気持ちが少なければ少ないほど、地獄に落ちる可能性は薄まる。
 だからまさにこういうことっていうのは頭で考えてもしょうがないんです。心が、そのときが来たときにどう反応するかっていう問題だから。頭で理性的に考える問題ではない。よって普段から訓練しておく必要があるんだね。普段から――一つ一つは小さな問題なんだけどね。例えば暑くてもできるだけ冷房を入れないとか、寒くてもできるだけ暖房を入れないとか、あるいは何かちょっとぐらい苦しいことがあっても、それが自然に生じたものなんだったら、それは神の愛だと考えて耐えるとかね。そういうことを日々繰り返してると、地獄に落ちるリスクっていうのはだんだん少なくなってくると思います。
 はい、そして「湿った場所で生まれる虫などの場合」。じめじめしたね、ところで発生する――発生するっていっても実際それも卵から生まれるわけだけど、そのじめじめした――湘南台教室でいうとよく石の裏にダンゴムシとかがいるけども(笑)、ああいう虫とか、じめじめしたところで生まれる虫ね。ああいう微生物とか虫とかに生まれる人っていうのは、そのじめじめしたところの臭いがだんだんしてきて、それに渇愛を感じますよと。
 じゃなくて胎生や卵生、つまり一般的なこの地球のね、人間やあるいは哺乳類、あるいは魚類、鳥類とかの、こういう胎生や卵生のものの場合は、セックスをしてる場面が見えてきますと。そしてそのどちらかに、つまり男か女かのどちらかに愛着を感じ、で、当然すごい潜在意識の世界だから、これはもう理性が吹っ飛んでる世界だから――つまりこれもね、いつも何回かこういう話をすると嫌な顔をする人が何人かいるけども(笑)、自分のものすごい潜在意識が求めてる理想的なタイプの、例えば男性、例えば女性がバーッと見えてくる。で、そのものすごい渇愛を感じている相手が、別の――例えば女性に生まれるんだったら、ある男性にものすごい渇愛が出てくる。「あー!」って思ってたら、別の女となんかセックスをしてる。その女性の方に対して強い嫌悪が出るんだね。嫌悪と嫉妬だね。この強い愛著と、そして嫌悪と嫉妬。このものすごいエネルギーで、その子宮に引きずり込まれるんです。で、気づいたときには子宮に入ってる。あるいは卵生の場合は、卵に入ってるっていうかんじだね。これが人間あるいは動物等の胎生や卵生の場合だね。はい。これはよくいわれるところですね。

◎暗いバルドと白いバルド

【本文】
 カルマの悪い者が経験するバルドは、暗い雲、あるいは闇夜のように感じる。
 カルマの善い者が経験するバルドは、白い布、あるいは月光によって照らされた夜のように感じる。

 これは全体的な話だけどね。バルドにはいろんなプロセスがあるわけですが、全体的にカルマの悪い人は、やっぱり暗いバルドに入りますよと。で、カルマのいい人は白い、あるいは光り輝く月光のようなバルドですよと。ただこれは実際、相対的な問題だから、はっきりと黒と白が分かれてるわけではない。つまりその功徳の総量、あるいは悪業の総量によって、ある程度暗かったりある程度明るかったりするわけだね。

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする