パドマサンバヴァの秘密の教え(132)「蓮華水晶の洞窟の宝物――シュリーシンハの直接の教え①」
明智の海
1.蓮華水晶の洞窟の宝物
――シュリーシンハの直接の教え
わたし、ウッディヤーナのグル・パドマが八歳のとき、
わたしの信仰は目覚めた。
わたしはグル・シュリーシンハのもとへ行き、
供物をささげ、教えを懇願した。
グル・シュリーシンハはこうおっしゃった。
「小乗と大乗の三蔵(論・経・律)で、心の修行を修行しなさい。」
グルの指示に従って、ブッダガヤーの東の地方で、わたしはスートラを学んだ。
南の地方で、アビダルマを学んだ。
そして北の地方で、パーラミターを学んだ。
それから、わたしは再びグル・シュリーシンハのもとへ行き、供物をささげ、すべての論・経・律を学んだ。
わたしは彼に、わたしを受け入れてくださるように懇願した。
グル・シュリーシンハは、こうお答えになった。
「息子よ、お前は次に、秘密のマントラの教えで、心の修行をしなければならないのだ。」
グルの指示に従って、ウディヤーナの国で、三つのヨーガを学んだ。
サホールの国では、マハーヨーガ・タントラと、偉大なる完成の心のセクションを学んだ。
ナイランジャラの国では、キーラヤを学んだ。
シンハの国では、パドマ・マヘーシュワラを学んだ。
ヴァスダラの国では、クリヤーを学んだ。
ネパールの国では、ヤマーンタカを学んだ。
メルツェの国では、マモを学んだ。
ブッダガヤーの金剛座では、八つのヘールカのサーダナを学んだ。
ランツァでは、父タントラと母タントラの四部からなるグヒャサマージャを学んだ。
すべての現象は、虚像、非真実、幻影、夢のようであると悟ったわたしは、王たちを含む五千五百人の集まりにダルマを解説していたグルのもとに行った。
わたしが到着したとき、グル・シュリー・シンハは、こうおっしゃった。
「何が欲しいのだね、未熟者よ。」
わたしはこう答えた。
「わたしは広範囲に渡って秘密のマントラの教えを学びました。今わたしは、あなたから教えを受けたいのでございます。」
グル・シュリーシンハは、こうおっしゃった。
「お前は最初に論・経・律を学び、二番目に秘密のマントラを学んだ、博学な者だ。
お前はすべての現象は虚像であると理解したが、これでは何の役にもたたん。
すべてのものは虚像、非真実、幻影、夢のようであるというこの理解は、お前の存在の中に同化させるべきなのだ。それを心の中に取り入れないでは、それはただの陳腐なものに過ぎない。これは悟りをもたらさないだろう。」
わたしはこう言った。
「もしそうだとしましたら、どうか、それを心の中に取り入れる教えをわたしにお与えください。」
グルはこうお答えになった。
「まずは曼荼羅の供養をしなさい!」
わたしは金粉で曼荼羅を作り、それを彼に供養した。
シュリーシンハはこうおっしゃった。
「さあ、わたしの前にとどまりなさい。足を組んで座り、手を安定させ、背筋を真っ直ぐに立てなさい。これが身体についての要点である。
眼を空の広がりへと向けるのだ。これは管の要点である。
下の風を締め付けて動かなくし、上の風を鎮めるのだ。これは風の要点である。
へその中心のニルマーナ・チャクラの赤いビンドゥーから『エ』を観想する。頭頂の中心のマハースカ・チャクラの『ヴァム』から白いビンドゥを観想する。これがビンドゥーの要点である。
赤と白のビンドゥが胸の中心のダルマ・チャクラに混ぜ合わせられた後、心をエ字から燃え盛る炎によって溶かされたヴァム字に集中させる。これが心の要点である。
赤と白のビンドゥを小さく小さくさせていく。そして最後には、どんなものであれ心の中にとどめてはならない。これが完全な悟りの要点である。」
わたしはグルの指示に従ってこのように修習し、身体がなくなる感覚、呼吸がなくなる感覚、現象によって妨げられずに動くことができるという感覚、わたしは不滅であったという感覚などのいくつかの経験が生じた。
これらの経験が起こったとき、慢心を感じ、それをグルに述べた。
グルはこうおっしゃった。
「グルの恩寵によってもたらされたものに慢心し、それで十分と考えるのは、極めて愚かである。
孤独な場所に行きなさい。そして、全く何も精神的な作り物を創り出してはならない。」