モトゥルナート・ビスワスの生涯(12)
シュリー・ラーマクリシュナがマドゥラ・バーヴァを実践したのと同じ年に、モトゥルはドゥルガー・プージャーの時期に盛大な祝祭を催し、カルカッタの自宅に師をお連れした。この祭典は、女神の像に対して入念に贅を凝らした儀式的な礼拝を捧げることが含まれており、礼拝を終えると、その像は近くの川や湖に沈められる。祭典の期間中、師は大半の時を恍惚境の中でお過ごしになった。礼拝が執り行われている間、師は聖職者の隣にお座りになっておられた。
聖職者が神像に食物を捧げようとしたとき、師は皿からそれを食べ始められた。そのような行為は冒涜とみなされていたので、聖職者はショックを受けたが、モトゥルは幸せだった。彼は、聖母が師を通して食物をお受けになったと確信したのである。
ある晩、師はモトゥルの自宅の女性部屋で深いサマーディに入っていらっしゃった。彼はそのとき、女性の服を身に着けていらっしゃった。ジャガダンバーは夕拝に参列したいと思っていたが、師を残していくことに気が進まなかった。かつて師が法悦状態にあったとき、炭火にかけていた平鍋に倒れ込み、ひどい火傷を負ったことがあったからである。彼女は夫と同じように、シュリー・ラーマクリシュナに深い愛と尊敬を抱いていた。突然、彼女はひらめき、師を外界の意識に戻す方法を思いついた。身に着けていた高価な宝石を師にかけ、何度も何度も、「ババ、灯明を振る時間が参りました。聖母ドゥルガーを煽ぎにいらっしゃいませんか?」と言った。師はゆっくりと通常の意識をお取り戻しになり、ジャガダンバーと共に寺院へおいでになった。モトゥルは遠目から、高貴な婦人が妻の側に立って、像を煽いでいているのに気が付いた。夕拝が終わると、妻にその婦人のことを尋ねた。ジャガダンバーは微笑んで答えた。
「分からなかったのですか? ババでいらっしゃいますよ。」
「誰もババを知ることはできない。」
モトゥルは言った。
「――彼自身がそれをお許しにならなければ。」
モトゥルとその家族たちは、祭典の期間中の五日間、恩寵の流れに押し流された。祭典を締めくくられければならないときが迫ってきたので、僧は使いを送って、像を水に沈める儀式の前に、聖母に最後の祈りを唱えるようにモトゥルに依頼した。このことはモトゥルに衝撃を与えた。喜びに満ちた祝祭を終わらせることを考えることは彼には耐えられず、こう叫んだ。
「母の像を沈めることを誰にも許可することはできない。彼女への賛美をこのまま続けさせてくれ。わたしの意志に反して何者かが像を沈めるなら、恐ろしい災害――流血の惨事にもなりかねない災害が起こるであろう。」
ほかの者たちが皆、モトゥルがこれ以上のことを言うのを恐れたので、ジャガダンバーはこの状況を救ってくれるように師に頼んだ。シュリー・ラーマクリシュナがモトゥルの部屋においでになると、彼が恐ろしい表情で真っ赤な顔をして、目には涙をため、行ったり来たりしているのにお気付きになった。師を拝見して、モトゥルはこう言った。
「ババ、ほかの者がどんなことを言おうと、わたしは母の像をガンガーに沈めることを許しません。わたしは礼拝を毎日続けることを命じました。母なしにどうしてこの世俗で生きていくことができましょう?」
シュリー・ラーマクリシュナはモトゥルの胸を小突かれ、こうおっしゃった。
「おお、何がおまえを恐れさせるのか? おまえが母なしで生きていかなければならないなどと、誰が言ったんだい? おまえが母の像をガンガーの流れに委ねたからといって、彼女がどこに行くというのか? 母が息子から離れられると思うかね? 祭典の最後の三日間、彼女は祭式の場でおまえの礼拝をお受けくださったが、今日からは彼女は、おまえのハートに絶えず座したまい、礼拝をお受けくださるだろう。」
師の不思議な一触れはモトゥルの心を変容させ、恐れは無意味だと彼に確信させた。彼は再び幸福になり、像を沈める儀式を執り行なった。
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