yoga school kailas

モトゥルナート・ビスワスの生涯(11)

 モトゥルはよく、豪華な四頭立て馬車で、シュリー・ラーマクリシュナをドライブに外へお連れしたり、様々な人を訪問したりした。神を誠実に求めている人がいるとお聞きになると、シュリー・ラーマクリシュナは足を運び、その人物に会いたがった。もし人が神に一歩近づくなら、神は十歩近付いて下さるのだ。このような機会に何度もシュリー・ラーマクリシュナは恥をかかされ、厄介な状況に置かれることになったが、気にすることはなかった。彼の心は称賛も非難も超越していたからである。デヴェンドラナート・タゴール(アディ・ブラフモーサマージの指導者)が瞑想を好み、神の御名を唱えていると耳にしたときには、タゴールの自宅に連れて行ってくれるようにモトゥルにお頼みになった。デヴェンドラは真心をもって彼らを受け入れ、霊的な会話をして楽しく過ごした。その後、デヴェンドラは親切心から、数日後に開催される年次のブラフモーの祭りにシュリー・ラーマクリシュナを招待した。しかしデヴェンドラは、祭礼の席に相応しい揃いの衣装を身に着けなければいけないと言い添えた。

「それは無理です。わたしは洒落者のように着飾ることはできません。」

と師はおっしゃった。これにはデヴェンドラとモトゥルの二人とも屈託なく笑った。
 しかし翌日、デヴェンドラはモトゥルに、招待をキャンセルするという旨の手紙をよこした。場に相応しい服装でないと大祭に出席することはできないと、記されていた。

 シュリー・ラーマクリシュナは信者にお話しになった。

「別の日に、わたしは橋の近くに住むディナ・ムケルジーという名の人物が善い人であると耳にした。彼は神の信者であった。わたしはそこへ連れて行ってくれるようにモトゥルに頼んだ。わたしの熱意を見てとると、彼は馬車でディナの自宅へわたしを連れて行ってくれた。そこは小さな家だった。大きな馬車での富豪の来訪は、彼らを当惑させた。われわれもまた、きまりが悪かった。その日は、ディナの息子が聖糸を身に着けていた。家の中は人であふれていて、ディナはわれわれを受け入れる余地がなかった。われわれが隣の部屋に入ろうとすると、誰かが叫んだ。

『その部屋に入らないでください。女性がいらっしゃいます。』

 それは本当に困った状況であった。帰宅してから、モトゥル・バーブは言った。

『ババ、わたしは二度とあなた様のおっしゃることに耳を傾けますまい。』

 わたしは笑ったよ。」

 スワミ・トゥリヤ-ナンダはあるとき、モトゥルがシュリー・ラーマクリシュナと共に馬車に乗っているときに経験したという不思議な出来事について語ってくださった。それは、シュリーラーマクリシュナの精妙な思考がいかに粗雑なレベルに影響を及ぼすことができたかを示すものである。

「モトゥル・バーブが、豪華な馬車でシュリー・ラーマクリシュナとジャンバザールへ帰宅する途中のことであった。馬車がチットポレ・ロードに着いたところで、師は素晴らしいヴィジョンを経験なさった。彼はシーターになり、ラーヴァナに誘拐されていると感じられたのだ。この考えに捕えられて、彼はサマーディに没入なさった。すると、突然馬たちの手綱が切れ、ぶつかり合い、倒れた。モトゥル・バーブはこの災難の原因が分からなかった。シュリー・ラーマクリシュナが通常の意識にお戻りになられると、モトゥルは事故について申し上げた。するとシュリー・ラーマクリシュナは、サマーディの中にあったときのことをお話しになった。ラーヴァナが彼を誘拐し、ジャターユがラーヴァナの馬車を攻撃し、それを破壊しようとしたことを。この話を聞いて、モトゥル・バーブはこう言った。

『ババ、あなた様と通りを通ることさえ、なんと困難なことか!』」

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする