モトゥルナート・ビスワスの生涯(10)
師は常にモトゥルを困難から保護なさっていた。しかしときには、師の方が助けを求めて子供のようにモトゥルのもとへ走って行かれたのであった。
聖典にはこう書かれている。
「真我に確立された悟った魂は、ときには狂人のように、ときには子供のように、また別のときにはけがれた魂のように世界を歩き回る。ときには愚か者のように、ときには智者のように振る舞う。あるときは王者のごとく豪華で、あるときは一文無しの乞食のように思われる。」
ある日、一匹の虫が尿と共に体外に排出されたので、師は非常に心配なさり、モトゥルにその件をお伝えになった。そのときのモトゥルは非常に賢明であり落ち着いていた。彼はこう言ってすぐに師を安心させた。
「ババ、その出来事は素晴らしいことです。誰もが身中に渇望を生じさせる虫を飼っております。様々な悪しき思考を心に生じさせ、人に悪業を犯させるように強いるのはこの渇望の虫なのです。渇望の虫があなた様の体から去ったのは、母の恩寵でございます。そのことに関してどうしてそんなに心配なさるのですか?」
モトゥルの返答は師を非常に楽にし、安心させた。
シュリー・ラーマクリシュナはときとして、自分の霊的なヴィジョンを確かめるかのように、モトゥルに意見をお求めになった。ある日師は、聖母が師を通じてお遊びになり、多くの信者が師のもとを訪れ霊的な経験と信仰を得るようになるだろうと、聖母ご自身がお示しになったとモトゥルにお話しになった。
「幻覚だろうか、それとも真実だろうか?」
と師はお尋ねになった。モトゥルはこう答えた。
「幻覚などと誰が申し上げますか? ババ、聖母様はいまだかつてあなた様に間違ったことをお示しになったことはありません。それならば、これが真実でないことがどうしてございましょう? どうして信者はこんなにも来るのが遅いのでしょうか? すぐに呼びましょう、そして彼らとの交わりを楽しみましょう。」
師はそれからこうおっしゃった。
「彼らがいつ来るかは分からない。しかし、母はわたしにそのことに関してお話しくださり、ヴィジョンをお見せくださった。すべては彼女の思し召しによって起こるのだよ。」
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