「変化身となって生まれ変わるために」
◎変化身となって生まれ変わるために
【本文】
同様に、覚醒時に微細な幻身(報身)から粗雑な変化身に移行する瞑想を行ない、睡眠時に夢の幻身から目覚めるときに変化身の姿となって目覚めることを修習することによって、死後も、バルドの報身の状態から、変化身となって生まれ変わることを成就することができるのである。
これも同じね。瞑想において、報身から変化身に移行する瞑想を行なうと。で、寝てるとき、つまり夢の中で、さっき言ったみたいに報身、つまり神聖な神の身体になっていろんな活動をすることを夢の中で行なって、で、夢が終わって目覚めるときに、ウーッて変化身に変身して目覚めると。
変化身っていうのはね、よくチベット語ではトゥルクっていうんだけど、例えばダライ・ラマ法王もトゥルクっていわれる。この変化身の概念ってすごく難しいんだけど。報身っていうのはね、報身は完全にわれわれのこの世界の物質ではない、つまり全然違う世界の、まあ物質っていっていいのか分かんないけど、霊的な存在です。だからわれわれは報身っていうのは普通は見れない。悟りを得てる人とか以外は見れない。でも変化身っていうのは、例えばトゥルクっていうわけだけど、例えばダライ・ラマ法王もトゥルクっていわれるんだね。つまりダライ・ラマ法王の肉体はあれは肉体ではない。あれは変化身なんだっていわれるんだね。もちろんそれは信じるかどうかは別。信じてる人も信じてない人いるかもしれないけど。
つまり変化身っていうのは、われわれの目に見えるんです。見えない場合もあるよ。変化身として霊的な世界にいたら見えないけど、変化身として生まれるっていうことはできるんだね。それは物理的には同じように見えます。
例えばですよ、わたしがもし変化身として生まれてきました。つまりバルドで報身として神の世界にいて、「よし、変化身になるぞ!」っていって変化身としてバーッて生まれました。で、例えばT君がいてね、T君が普通に、普通の人として生まれました。わたしとT君の体の成分を解析しても同じです。変わりません。でもわたしは変化身なんです。これはだから現代の科学とかではちょっと解明できない領域の、そのおおもとの話なんだね。この物質を作り出してるおおもとのエネルギーとかが、普通の人とちょっと違うんです。でもそれは現代ではよく分からないっていうかまったく同じに見える。でも変化身なんだね。
で、この変化身のプロセス。まあこれはね、ヒンドゥー教的にいうとアヴァターラとか、あれもそうかもしれない。ラーマクリシュナとか、あとラーマクリシュナの弟子たちっていうのは、高弟とかはね、完成者の化身が多かったっていう話だけど、つまりああいう存在っていうのも高い世界からわざわざ肉体を形成して降りてくるんだけど、その肉体を形成するっていうのが、普通の人とちょっと違うんだっていうことだね。
ラーマクリシュナとヴィヴェーカーナンダの話で今回『聖者の生涯Ⅱ』にも書いたけど、こういうのがあるよね。絶対的な至福の世界があって、で、そこに七人の聖なる魂がいて、その一人がヴィヴェーカーナンダなんだね。それだけで超すごい感じがするんだけど(笑)、ラーマクリシュナがもっとすごいのが、その至福の世界が凝縮して赤ちゃんになったって。それがラーマクリシュナだっていう。至福の世界の一部が凝縮して赤ちゃんの姿になったと。その光の赤ちゃんが、その純粋なる至福の世界の七人の聖者の一人のそばに行って、「さあ、わたしは降りるよ」と。「おまえも来なきゃいけないよ」と。で、その聖者もこううなずいて、で、二人でこう降りてったって話がある。それがラーマクリシュナとヴィヴェーカーナンダだっていう話がある。
つまりこれはこの話でいうと、そうですね、法身なのか報身なのか分かんないけども、とにかくその非常に高い、純粋なる状態から、変化身として「じゃあ、行きましょうか」と。で、変化身として普通の今のインドのね、ベンガル地方の人間の体として生まれてきた。でもラーマクリシュナの体自体は普通の体ではない。
これをね、後天的にやるのが、たとえば虹の身体とか、後天的な意味での変化身の修行です。虹の身体とかよくいうけども、あれは修行して、体がもう虹の身体になりましたと。でもその虹の身体と呼ばれる人を見ても、普通の人なんだね。普通のおじさんだったりするんだね。でも死の時にそれは分かりますよと。死の時に――まあ現代では難しいっていわれてるんだけど、もうちょっと時代が清らかな時代のときは、虹の身体を悟った人の死体っていうのは消滅してしまうんだね。この世から消えてしまう。つまり肉体の組成が普通とちょっと違っちゃってるから。でもそのパターンの場合は、普通は生まれたときは普通の体なんだけど、修行によって体をそういう、見た目は同じなんだけどもともとの組成が違うような体に変えてしまうっていうパターンだね。
はい。そうじゃなくて、仏陀の変化身の場合は、高い世界からわざわざある種の清浄なエネルギー体として肉体を作って生まれてきましたと。で、これを夢の中でそういうイメージを繰り返すんだね。夢の中っていうか夢から目覚めるときね。さっきから言っているように、夢の中で神としてまず活動するイメージをして、で、目覚めるときに、「さあ、衆生を救うためにじゃあ変化身を作るか」とグーッと変化身を形成して、パッと目覚める訓練をするんだね。「よし、おれは衆生のために変化身としてやってきた」と。こういうイメージをひたすら繰り返す。で、それによって実際に本番の死が来たときに、同じように衆生のために報身の状態から変化身に生まれるっていうことを実際に行ないなさいと。
言っとくけど、今説明してることは、すべてかなり高度な話です(笑)。「分かりました!」っていって明日できるような話じゃないよ。かなり高度なことを言ってるって思ってください。だからみなさんこう聞いて、「え? 何だそれは? よく分かんない」とか「おれには無理」とか思う人いるかもしれないけど、それは当然です(笑)。もっともっとみなさんが修行を進めて経験する話――もちろんそれを目指すのは素晴らしいけどね。目指すのは素晴らしいけど、かなり高度なことをいってると考えてください。
◎三身のヨーガ
【本文】
まとめると、
覚醒時の四つの空・睡眠時の四つの空・死後の四つの空(法身)
覚醒時の幻身・夢の幻身・死後の幻身(報身)
覚醒時の変化身・夢から覚めるときの変化身・バルドから生まれ変わる時の変化身
この九つを修習することは、無上の教えである。
これは今言ったことのまとめだね。つまり起きてるとき、それから寝てるとき、そして死後。もうちょっと簡単に言うと、さっきから言ってることと同じだけど、起きてるときと寝てるときにこの三つの法身、報身、変化身の修行をしっかりやりなさいと。で、それによってそれが成功して確定されたら、死後も同じように法身、報身、変化身のプロセスが起きますよっていうことだね、ここはね。
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