yoga school kailas

◎サマーナからヴィヤーナまで

 はい、次にサマーナ気。このサマーナは、ちょっといろいろダブるわけですが、さっきの五大元素の火の元素と関係があります。あるいは、この三体質のピッタと関係があります。まあ、結局火のエネルギーだね。で、これは最も関係があるのは、消化だね、食べ物の消化。つまり現代医学的にいうと、食べ物の消化っていうのは、胃液とそれから胃腸の蠕動(ぜんどう)運動とか、によってなされているわけですが、それだけではなくてこのサマーナと呼ばれる食物を消化するエネルギーがあるんだね。それによって我々は栄養を肉体に取り込んでいるんだっていう考えがあります。だからこのサマーナ気も、もちろん必要です。必要だけども、これもできるだけ上に上げた方がいいね。そうじゃないと、食物にとらわれてしまう。
 はい、そしてプラーナ。このプラーナっていうのは、まあ、これもちょっとダブるけど、五大元素の風とか、三体質の風と関係があります。つまり、体中を巡る、体中に生命力を巡らせる働きをしているエネルギーなんだね。
 そして次に、ウダーナ。このウダーナっていうのが実は重要なんですが、現代人はウダーナが非常に弱い。つまりウダーナっていうのは、まさにアパーナと逆で、気を上に上げるエネルギーなんです。だからウダーナが強い人っていうのは、普段からまず、非常に肯定的です。肯定的で、心が明るい。そして、肉体的にも軽くなります。なんかこう、上に引っ張られているような感じがする。まあ修行しているとだいたいウダーナ気が強まってくるんだけどね。
 で、これも何度も言っているんだけど、私の経験として、今でもそうなんだけど、あの、私ねえ、上り坂とか上り階段とか、得意なんです(笑)。得意っていうか(笑)、例えば体が疲れていてダラダラと歩いていても、上り階段になると走っちゃうんです(笑)。なんか引っ張られるんです、上に(笑)。だから分かるよね、上に引っ張られる力があるから。でも上だから、普通に歩いていてもあんまり力にならないんだけど、上り坂になるとなんか引っ張られる。
 そして最後にヴィヤーナは、まあこれは派によっていろいろな定義があるんで今日はあまり突っ込まないけども、簡単にいうと、我々の身体を保護してくれるものだね。

(U)オーラを見ている人は、ヴィヤーナを見ているんですか?

 本当に見える人はね。だからその人によって違うと思うよ。ヴィヤーナじゃなくて違うものを見ているんだけど、それをオーラって言っている人もいるだろうし。本当に見える人はヴィヤーナを見ている。で、これはねえ、一説によるとね、ヴィヤーナっていうのは、仮に肉体が破損しても残る。どういうことかっていうと、例えば腕を一本無くしましたと。でも腕の形のヴィヤーナが残っている。だからなんか感覚があるんだね、腕がない人も、腕があるような感覚がある。それは私はもちろん確かめたことがないから分からないけど、そういうふうにいわれているね。死ぬまでその形が残り続ける。

◎クンバカの意味

 はい。で、もう一つ言うと、皆さんによくやらせている、ムドラーとかで、息を止めるときの話ね。あれはねえ、ヨーガの言葉ではクンバカって言います。クンバカ。このクンバカっていうのはインドの言葉で、壷のことなんだね。この壷っていうのは何のことかっていうと、インドではスパイスを壷に入れて混ぜ合わせるんです。このイメージなんだね。つまりクンバカの意味っていうのは、このアパーナ、サマーナ、プラーナっていうものを、混ぜ合わせてるんです。息を止めて、グッと肛門を引き締めることでアパーナがグーッと上がります。グーッとお腹のバンダを入れることで、サマーナがグーッと上がります。で、グッと喉を閉じることで、プラーナが下に下がるんです。で、このプラーナ、サマーナ、アパーナが、グワーッて混ざるんだね。で、新しい、修行で使える気の流れができるんです。これによって、クンダリニーとかをこう昇らせたりするんだね。それがちょっと高度な気の働きだね。
 だから修行者が使う気と、一般の人が使う気っていうのは、ちょっと違ってくる。修行者っていうのは一般の気の流れプラス、違う気の流れを作り出さないといけない。っていうのは、例えばヨーガでいうスシュムナー。スシュムナーっていうのは背骨を通っている気だけども、これは中国でも督脈っていって、背骨を通っている気があるんだけど、これはあの、いろいろそういうのがあるとはいえるんだけど、本当のことをいうと、あるけど本当の意味では使えないんです、普通の人には。つまり、ここを流れるにはちょっと精妙な気じゃないと駄目なんです。その気を作り出す。グーッと混ぜ合わせて作り出すんだね。だから修行者っていうのはよく錬金術師に例えられるんだけども、全然違うものを混ぜ合わせて、より素晴らしいものを作るんです。で、それによって、スシュムナーとかの大事な管を通していく、っていう意味もあります。

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