「チューラガヴァッチャ」
チューラガヴァッチャ
チューラガヴァッチャは、世尊パドゥムッタラの時代に、貧しい家に生まれた。あるとき、世尊パドゥムッタラの高弟でスジャータという者が糞掃衣を求めているのを見て、浄信によって彼に近づき、衣を差し上げて、五体投地して礼拝した。
彼はこの功徳によって三三回にわたって天の王国を支配し、一〇七回にわたって人間界の偉大なる王となった。このように天界と人間界を流転した後、世尊カッサパの教えが衰退していく時代に出家修行者となり、またそこから死んで天界と人間界を流転し、世尊釈迦牟尼の時代にコーサンビーのブラーフマナの家に生まれ、チューラガヴァッチャと名付けられた。
成人したチューラガヴァッチャは世尊釈迦牟尼に信を持ち、出家し、修行に励んだ。
あるとき、コーサンビーの修行者たちの間で、論争が生じた。しかしチューラガヴァッチヤはその論争に関わることなく、世尊から与えられた瞑想に励み、ついにアラハットの境地に到達した。
アラハットの境地に達したチューラガヴァッチャは、論争にいそしんでいる修行者たちが、言い争いを好んで自己の利益を失っているのを見た。また、自分が論争に関わらずに世尊の教えを実践したことで優れた境地に到達したことを見て、歓喜に満たされ、次のような詩を唱えた。
「仏陀の説かれた真理の法を大いに歓喜する修行僧は、行の動きが静まった、安楽なる、静けさの境地に到達するであろう。」
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