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「グル・リンポチェ」(11)

◎インドのカラシッディ

 
 パンダラーヴァーシニーの転生であるカラシッディは、インドの機織り職人の娘として、ダーキニーのあらゆるサインを持って生まれてきました。彼女の母親は出産後に死んだため、カラシッディは母親の遺体と共に火葬場に捨てられました。雌のトラの姿で森で修行をしていたマンダーラヴァ王女がそれを発見し、カラシッディを育てました。
 グル・リンポチェは、カラシッディが成長するにつれ、彼の弟子となる素質があることに気づきました。サーキャデーヴァと呼ばれる教師として、グル・リンポチェはカラシッディにエンパワーメントを与えて教えを説き、タワチェンの森で、二人は共に高度な修行をおさめました。
 その後、カラシッディは、ある農家の息子に祝福を与え、彼はフームカーラ師として、インド仏教のもっとも有名な密教指導者のうちの一人になりました。
 生涯の最期では、彼女は空と至福の融合の身体を獲得し、跡形も無く【銅色に輝く山】へと消えていきました。

◎モンのタシ・キーテン

 タシ・キーテンはサマヤターラーの転生として、モンで生まれました。モンとは、シッキムとブータンを含んだインド国境のチベットの南部あたりのヒマラヤの名称です。
 タシ・キーテンのダルマへの信念は幼少期に芽生えました。夢の中に出てきたダーキニーの天啓に導かれて、チベット南部のロタクへ行き、そこでイェシェー・ツォギャルと出会い、エンパワーメントと教えを受けました。その後、グル・リンポチェに深遠な教えの本質を受け、修行によって密教的成就を獲得し、グル・リンポチェのコンソートになりました。
 ブータンのタクツァンでは、グル・リンポチェと共にヴァジュラキーラのサーダナを修行しました。グル・リンポチェがドルジェ・トロとして顕現したとき、タシ・キーテンは雌のトラに姿を変え、グル・リンポチェの乗り物となり、誓約によってチベット中のすべての強力な非人間的霊魂を調伏しました。 タシ・キーテンは、チベットにおいてイェシェー・ツォギャルと共に最も慈悲深いダーキニーでした。その後、彼女は跡形もなく【銅色に輝く山】の浄土へと消えていきました。

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