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解説「シクシャーサムッチャヤ」第一回(6)

 

 ガンダヴューハ・スートラ(華厳経)において、スダーナは、勝熱ブラーフマナのところにおいて、こう語っている。

「人間の身体を得るのは難しい。
 真理と出会うことを阻害するもろもろの難から脱するのは難しい。
 一瞬でも清浄を具足するのは難しい。
 ブッダが世に出た時代に生まれるのは難しい。
 感覚器官を障害なく持つことは難しい。
 ブッダの教えを聞く機会を持つことは難しい。
 素晴らしき友に会うことは難しい。
 真実の師に会うことは難しい。
 理の如くに正しいダルマを受けることは難しい。
 真理に励む人生を得ることは難しい。」

 しかし我々は今、これらの得がたき境遇を目の前にしている。
 そして、もしここに偉大なる魂がいたならば、このように観察するだろう。

「わたしも他人もともに、恐怖と苦しみとを喜ばない。
 ならばなぜ、わたしだけを恐怖と苦しみから守り、他人のことは守らないでよいといえようか。
 自分のためだけになす真理の実践に、何の価値があろうか。」

 はい。これもね、何度も出てきてるやつ。まあさっきも出ましたが――人間に生まれ、そして真理を実践できることの稀有さということについて、まずわれわれはしっかり考えなきゃいけない。まあ、これはちょっと短い感じでこうまとめてるわけですが。
 「人間の身体を得るのは難しい」と。ね。われわれはさっきも言ったように、ほとんど地獄・動物・餓鬼ですよと。人間として生まれるのは本当に稀なチャンスなんですよと。
 まず皆さんはね、何度も言うけども、第一に皆さんが心の中心に置かなきゃいけないのは、自分の悟りの目です。どういうことかっていうと、皆さんが将来において――あのね、わたし昔ね、みんなもそうかもしれないけど、自分で独学で修行始めたころって、宗教とか嫌いだったんだね。なんで宗教が嫌いかっていうと、いわゆる単純に、教えがあって、「あ、そうなんですか。分かりました」と。それで終わってるわけだね。お釈迦様の場合、まあこれも有名な言葉で、こういうことを言ってらっしゃる。バーッと教えを説いたあとにね、「さあ、君たちはこれを体験しなきゃいけない」と。「今わたしが言ったことが本当かどうか、自ら悟りなさい」と。このプロセスがないと駄目なんだね。つまり、まず第一に皆さんが達成しなきゃいけないのは、皆さん自身が修行し、皆さんの心の目でこの世の中の真実を悟ることです。つまり、「本当に輪廻ってあるんだろうか?」「本当にわれわれはほとんど地獄にいたんだろうか?」――こういうことをちゃんと自ら悟らなきゃいけない。
 でも、次の段階でですよ、今悟ってない。ね。悟るまで修行しなきゃいけないのはまあ当然として、じゃあ今それに対してどういう見解を持ったらいいのか?――それはもちろん、ブッダを信じてください。あるいは、まあもちろん自分の師がいる場合は、自分の師をしっかり信じる。自分の師やブッダを信じてください。自分の師やブッダよりもその辺の霊能者を信じないでください(笑)。つまり、いろんな人がいるからね、今ね。「あ、あなた人間界三回目ですね」とか、わけの分からないことを言う人がいっぱいいる(笑)。ね。それはそれでまあ、その人の考えでしょう。その人は魔境なのかもしれないし、間違った何かを見てるのかもしれない。で、そういう人がいっぱいいると。じゃあどれを信じるんですかと。ね。もう一回言うけども、自分で悟れれば最高。自分で悟れてないんだったら、まずは少なくともお釈迦様を信じましょうと。その辺の人じゃなくて、お釈迦様をまず信じましょうと。あるいは偉大な聖者を信じましょうと。あるいは師がいるんだったら自分の師の言ってることを信じましょう、ということだね。
 お釈迦様の教えにのっとるならば、何度も言うけども、われわれが人間の身体を得ることはとても難しいんだ、ということを知らなきゃいけない。

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