解説「菩薩の生き方」第十三回(7)

はい、そして懇願ね。この懇願は、ね、もちろん皆さんはダルマに巡り合ってるけども、より、なんていうかな、仏陀に対して、あるいはグルや至高者に対して、教えをお与えくださいと。あるいは、まあ、この方向性はそれぞれの理想によって違う。いつも言うようにバクタの場合は、「あなたへの完全なる愛をお与えください」となるよね。この、ラーマクリシュナ的に言えば渇仰の心ね。この渇仰の心をそれぞれの思いによって持ち続けると。「主よ!」と。「わたしはほんとにエゴの塊です!」と。「わたしに真の菩提心をお与えください!」とか、あるいは、「わたしはほんとに、帰依とか言ってるけど全然帰依がありません」と。「あなたへの完全なる愛や帰依をお与えください」とか、この懇願の心ね。これももちろん詞章として唱えてもいいけども、この気持ちを常に持ち続けると。何をやっててもそれを考えるとかね。
はい、そして祈願。祈願っていうのは、まあ、自分のグルはもちろんだけど、この宇宙で、この世にわざわざ降りていらして、この世界を救ってくださってる聖者方、仏陀方がたくさんいると。彼らに対して――彼らはもちろんニルヴァーナに入ろうとすれば入れると。しかしそうしたらもうこの地上が見捨てられてしまうと。暗くなってしまうと。よって、もちろん自分のグル、あるいはその他多くの仏陀方、聖者方に、「どうかニルヴァーナに入らないでください」と。「どうか衆生のために、わたしの積んできた徳をすべて捧げますから、どうか長らく、末永くおとどまりください」と。
この祈願のプロセスが生まれた理由は、おそらく、何度も話してるアーナンダの失敗があると思うね。何度も言ってるけど、お釈迦様がこの世を去るときに、アーナンダっていう、一番近かった、いつも身の回りの世話をしていた、お釈迦様のいとこであるアーナンダっていう弟子を一つのテストとして使ったわけですね。「如来というものは、その気になれば――つまりもう完全に生命っていうものをコントロールしてるから、一カルパでも、一カルパ以上でも――一カルパっていうのはつまり宇宙が破壊されるまで――この世にとどまることができるんだよ」ってことを言うんだね。で、そこでアーナンダは当然そこで、「世尊よ」と、「仏陀よ」と、「どうかあなたはわれわれのために一カルパでも、つまりこの宇宙が破滅するまで、ずっとおとどまりになり、われわれを導いてください」ってお願いするべきだったんだけど、アーナンダの心は魔にとりつかれていたので、もうボーッとして何も言わなかったと。で、お釈迦様はそれを一つのテストとしてね――なんでテストとしたかっていうと、まあもちろんアーナンダが一番自分に近い弟子であったと同時に、アーナンダはまだ解脱していなかった。ほかの高弟たちはみんな解脱してたんだけど、アーナンダは解脱してなかったから――もちろんアーナンダ以外にも解脱してない弟子はいたと。で、この解脱してなくて一番近いアーナンダを一つのテストとして、もし彼がまだわたしを必要としてるならばとどまろうと考えたんだね。しかしまあ、おそらく地球がその運命になかった。お釈迦様がもっととどまる運命になかったので、アーナンダは魔にとりつかれ、そういう祈願をしなかったんですね。
まあ、おそらくその流れからきてると思うんですけども、今目の前にいるグル、あるいはまだ自分が知らないかもしれない、この地球を守ってくださってる多くの聖者方、仏陀方、彼らに対して、心から、「どうか末永くおとどまりください」とお願いするわけだね。
はい、そして最後に回向ね。このような、今まで言ったプロセスを日々皆さんが進んでいったならば、当然そこで徳が積まれ、あるいは素晴らしい善いエネルギー、善いカルマが積まれるわけだけども、それらによって一切衆生が救われますようにと。「それらによって、すべての衆生のすべての苦しみを滅ぼしたい」って書いてあるけども、すべての衆生の苦しみが全滅しますようにと。これも普段から考えると。つまりわたしの修行っていうのはわたしのためにあるんじゃないんだと。
だからこの回向の気持ちがあると、当然修行に身が入ります。だって、いつも言ってるけど、自分一人でも大変なんだから。うん。すべての衆生のためにやらなきゃいけないわけだから、当然その努力っていうのは、なんていうか、どれだけやっても足りないぐらいになるよね。
はい。だからこの――繰り返すけど、礼拝・供養・懺悔・随喜・懇願・祈願・回向を、もちろん日々の修行としてやるのも大事だし、それだけじゃなくて、この気持ちを持ち続けると。事あるごとにこの七つのいずれかについて考えたりとか、あるいはそれをもとに心を働かせたりとかし続けるというのが大事だっていうことですね。
はい、これが前文で、ここからまあ本格的な「菩提心を受け保つ」っていうテーマに入っていくわけだね。
-
前の記事
解説「菩薩の生き方」第十三回(6) -
次の記事
解説「菩薩の生き方」第十四回(1)