yoga school kailas

2011年インド修行旅行記(15)

 Mの家というのは、実はカルカッタには二つあります。

 一つはある時期まで住んでいた家で、もう一つは晩年に住んだ家です。

 前者のほうが有名なのですが、実は私は後者の晩年に住んだ家に、二度ほど行ったことがありました。そこは「あるヨギの自叙伝」にも出てくるいわゆる「アムハースト通り50番」の家で、家というよりもMが校長を務めていた学校の一室でした。晩年はMはそこに住んでいたのです。そしてそれより前にはヨガナンダの家族も住んでいた家でした。
 しかしそこはあまり注目されていないようで、一応、Mが住んでいた部屋は残されているのですが、掃除も整理もあまりされておらず、ちょっと残念でした。

 さて、今回行ったのはそこではなく、ある時期までMが住んでいた家です。ラーマクリシュナ関係の信者たちにはこちらの方が有名です。なぜならここにはかつてヴィヴェーカーナンダを初めとしたラーマクリシュナの直弟子達が多くやってきたり、またラーマクリシュナの妻であるホーリーマザーが何日間も泊まったり、儀式をおこなったりした場所だからです。

 私はここに行くのは今回が初めてでした。
 そして、行った感想としては・・・・・・何ともいえないのですが・・・・・・ものすごいところでした。
 もう何というか、頭がクラクラするような聖地です笑。ちょっと表現しづらいのですが、酔ってしまうような聖地といいますか。聖なる雰囲気に酔っぱらったりとろけたりするような感覚。それがかなり強烈なパワーで空間に浸透しており、それが我々にも浸透してくる感じでした。 
 私はこの家のこの聖なる雰囲気に酔ってしまい、少しふらふらしながら、みんなの後ろの方を歩いていました。みんな先に行った人達は、Mが住んでいた部屋に入って、いろいろ歓声をあげています。私が一番後ろのほうから行くと、奥の部屋からこの家の管理人のようなおじさんが出てきて、私に話しかけてきました。私も英語がそんなにできるほうではないので、片言で話していると、ふと、「もしかして・・・・・・」という思いがわいてきました。

「もしかしてあなたは、Mのファミリーですか?」

「Mは私のひいおじいさんです。」

 何とこの方、Mのひ孫さんだったのです。そういえばどことなく、彫りの深い顔立ちや、インド人らしからぬ白い肌などが似ています。

 さらに話していると、なんとこの方、日本ヴェーダーンタ協会のスワミ・メダサーナンダさんとも友達だそうで、メダサーナンダさんの名前を出すと、よろしく言っておいてほしいと言っていました。

 さて、この方の案内で我々は、建物の二階にあるMの部屋を見学した後、さらに三階に上り、聖なる雰囲気の部屋に通されました。そこは祭壇がある部屋で、この部屋でホーリーマザーが様々な儀式をおこなったり、またラーマクリシュナの直弟子達が集まって会議をしたりしたそうです。

 この部屋もそうだし、この家全体がそうなのですが、なんといいますか、ラーマクリシュナ関係の聖地はすべて素晴らしいのですが、このMの家は、かっこいいというか、
酔ってしまうというか、なんだか独特の印象を受けました。

 次に屋上に出ると、その家の管理を手伝っているらしい信者のおばさんが、「ここでヴィヴェーカーナンダが瞑想したのよ」と言って、台座のような物を指さしました。しかし見るとその台座の上には、普通に植木が置いてあったので、笑ってしまいました(笑)。でもこういうところが、なんというかラーマクリシュナ関係全般に通じる雰囲気なんですね。真剣さとユーモアの同居というか。

 時間がなかったので、あまり長居はできませんでしたが、この初めて訪れた「Mの家」は、個人的には今回のインド旅行の中で五本の指には入る、素晴らしい聖地でした。

 さてその後われわれは、ホーリーマザーが住んでいた家へと向かい、そこでおいしい乳がゆのプラサードをいただきました。ここは私は訪れるのは三回目だったのですが、初めて訪れた人たち、特に女性の方々は、大変感動していたようです。

 その後、今日の最後の目的地である、「コシポルのガーデンハウス」に向かいました。この「コシポルのガーデンハウス」は、ラーマクリシュナが咽頭癌にかかったとき、転地療養のために移り住んだ場所で、結局ラーマクリシュナはここで亡くなったのです。
 ここも私は初めて訪れたのですが、非常に素晴らしい場所でした。訪れた時間はちょうど夕拝がおこなわれていて、多くの信者達がラーマクリシュナを称える歌を歌っていて、大変感動しました。

 さて、こうして短い期間ながらもラーマクリシュナ関係の聖地を堪能した我々は、後ろ髪を引かれつつもこの素晴らしい場所に別れを告げて、次なる目的地であるブッダガヤーへと向かったのでした。

 

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする