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2011年インド修行旅行記(10)「クリシュナの家とヤムナー河、クリシュナの誕生日」

◎クリシュナの家とヤムナー河、クリシュナの誕生日

 この後、なんとガイドは、「クリシュナが住んでいた家」へと連れて行ってくれました。
 ミーラーバーイーはまだ500年前くらいの人なので、住んでいた家が残っていても不思議ではありませんが、クリシュナは数千年前に地上に現れた化身とされているので、その家が今も残っているとは考えにくいことです。しかし事実はどうあれ、信者によってそのように崇拝されているなら、それはもちろん素晴らしいことです。
 
 この「クリシュナが住んでいた家」、入ってみると、床や壁にびっしりと、文字が書いた石盤が埋め込まれています。それはここに一定額以上の布施をした人の名前だそうです。そしてここの神職のような人が、ガイドと二人で、我々の名前も刻んであげるからと言って、布施を要求してきました。しかしその額があまりに大きかったので、そんなお金はないと言って断りました。
 実はこのとき、本当に我々は少ししかお金を持っていなかったのです。というのも、このヴリンダーヴァンの聖地巡りをする前に、ホテルの従業員や旅行会社のスタッフに、さんざん脅されていたのです。この日はクリシュナの誕生日の前日なので、スリがたくさんいるから気をつけろ、と。しかもそのスリは、刃物でポケットを切り、財布などを盗っていくというのです。だから貴重品やお金は最小限だけ持っていくように注意されていました。
 しかし実際来てみると、それほど人も多くなく、お祭りの雰囲気もそんなになく、スリの危険性もなかったので、拍子抜けだったのですが、とにかくそういう事情で、我々は布施をしたくても少額のお金しか持っていなかったので、皆のお金を集めてわずかばかりのお布施をさせていただきました。

 そしてこの後われわれは、クリシュナが友達たちと日々遊んだというヤムナー河の岸辺に行きました。ここでも我々は、最初に厳かに沐浴したあと、クリシュナと牧童たちのように、思い切り泳いで遊んだのでした笑。

 十分に遊んだあと、さて帰ろうかというときに、例のガイドが、ガイド料を要求してきました。これは予想されたことだったので、少ない手持ちの中からある程度の料金を払ったのですが、これでは少ないと言ってさらに要求してきます。

 一件この男は、「親切な男を装った悪質なぼったくり」にも見えますが、我々には逆に彼が、「悪質なぼったくりを装ったクリシュナの化身」に見えていました笑。だってあんなにも素晴らしい場所に、頼みもしないのに次々と連れて行ってくれたんですから! そしてあの孔雀の羽のような瞳(笑)!
 しかし一応このクリシュナの化身も、この世のリーラーに則って、ぼったくり男を演じなければならなかったのでしょう笑。
 
 我々はこのガイドの男に感謝しつつも、本当に手持ちが少ししかなかったので、わずかなお金を上乗せして渡して、感謝してヤムナー河を去り、ホテルへと戻ったのでした。

 そしてこの日の翌日はクリシュナの誕生日。そしてクリシュナは夜中の0時に生まれたといわれています。ですからこの日の夜は、ヴリンダーヴァンのあちこちの寺院で、お祭りをするのです。

 我々も独自に歌などを歌ってお祝いをしたかったのですが、我々の泊まったホテルは宗教系のホテルだったので、寂静を保つために、あまり大きな音を出してはいけないとされていました。だから普通は歌などは歌えません。そこでホテルの関係者に交渉に行くと、なんと彼らは快く、こう言ってくれました。

「今夜は特別な夜だ! あちこちでみんなクリシュナへの賛歌を歌うだろうから、君たちももちろん歌っていいよ!」

 そこで我々は夜の11時頃に集まり、まず瞑想をしました。
 クリシュナが遊んだ聖地ヴリンダーヴァンにクリシュナの誕生日に来ることができたこと、その幸福と喜びをかみしめつつ、クリシュナに心を合わせてしばらく瞑想しました。

 そしてその後、皆で歌を歌いました。我々のヨーガ教室のメンバーは皆、歌が大好きです。そしてオリジナル曲や既製の曲も含め、レパートリーにはクリシュナの曲が多いので、それらを繰り返し歌いました。

 クリシュナの誕生日に、ヴリンダーヴァンで、クリシュナへの賛歌を、法友たちと共に歌える喜び!――我々は何と幸せ者なのでしょう。

 0時になると、空にはいくつもの花火が上がりました。近くの寺院でも、大騒ぎしている声が聞こえてきます。

 翌日は我々は、クリシュナが生まれ、そして魔王カンサを倒したあとしばらく住んでいたマトゥラーと、クリシュナが幼年時代を過ごしたゴークラを訪れました。しかしクリシュナ派のヒンドゥー教徒にとってはヴリンダーヴァンこそが最高の聖地とされていることと、我々も疲れがたまっていたということもあって、マトゥラーはクリシュナが生まれた牢獄のある寺院、そしてゴークラはその地を訪れただけで、皆でチャイを飲んで帰ってきました。

 そして我々は再びヴリンダーヴァンへ戻り、残された滞在時間を、瞑想したり、町を歩いたり、買い物したりして、思い思いに過ごしたのでした。
 

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