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要約「シクシャー・サムッチャヤ」(9)「正法の守護」

◎正法の守護

 先に、

「衆生の幸福のために、戒を守り、正智を守護しなければならぬ。もしそうしなければ、衆生に利益を与えることはできない。
 よって、素晴らしき師を捨てず、常に経典を学んで、戒を守り、正智の守護をなすべし。」

と説いたように、菩薩行を歩む上において、常にしっかりと菩薩の経典を学ぶべし。正しく学び、正しく熟考し、正しく吟味するならば、罪に堕することなく、迷妄なるものを愛したり欲求したりすることはない。
 菩薩の経典を読み、常に菩薩の経典を読むことを欲求し、尊重する者は、もろもろの素晴らしい師や法友を捨てず、一切の正法を守る者である。

 アーリヤサーガラマティ・スートラ(聖海意経)には、こう説かれている。

「深遠なる法を修行している師に親しみ近づき、恭敬し、尊重し、帰依し、飲食・衣服・座臥具・薬・その他のものを布施し、もろもろの善なる法を実践し、善なる言葉を語り、誹謗されても心を動かさない。このような者を、『正法を護る者』という。

 また、法を聞くときも、あるいは法を説くときも、あるいは一歩一歩歩くときも、あるいは息を出し入れするときも、集中して正念正智する者、このような者を、『正法を護る者』という。」

 もし正法を守護しないならば、それは不浄である。よって菩薩は正法を護らないということがあってはならない。

 シュリーマーラシンハナーダ・スートラには、こう説かれている。

「ほんの少しでも正法を護るならば、悪魔に対して大いなる激痛と悩みを生じさせる。
 大乗に住する者は、身体も命も財産も捨てて、正法を守るべし。」

 アーリヤサーガラマティ・スートラ(聖海意経)には、こう説かれている。

「如来の正法を守る者は、しばしば出家修行者となり、また大いなる徳、大いなるサマーディを得て、それらは一〇〇カルパを経ても消滅することはない、。法を説く智慧を得、さまざまな障害もない。
 また、如来の正法を守る者は、インドラ神、ブラフマ神、世界の守護者等になり、人間界においては転輪王となり、速やかに覚醒を悟り、至福の安穏を得る。
 また、如来の正法を守る者は、殊勝なる32相をそなえた、歓喜の身体を得る。人々は彼の姿を見て飽きることがない。
 また、如来の正法を守る者は、菩提心を捨てることなく、パーラミターの行を捨てることなく、あまねくよく多くの善の実践を行なう。」

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