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クリシュナ物語の要約(2)「主はデーヴァキーの胎に宿る」

(2)「主はデーヴァキーの胎に宿る」

 カンサは、他の魔族の王たちと結託して、ヤドゥ族を抹殺する計画にとりかかりました。

 その後、デーヴァキーには次々に子供が生まれ、そのたびにカンサに殺されていきましたが、ついに、アナンタと呼ばれる至高者ヴィシュヌの光の一部が、七番目の子供として、デーヴァキーのおなかに宿りました。

 そのとき、主ヴィシュヌは、女神ヨーガマーヤーに、次のように命じられました。
「今、デーヴァキーの胎には、わが部分的顕現が宿っている。あなたはそこから彼をとりだして、ヴラジャに住むローヒニーという女性の胎の中に入れてきなさい。
 そして私は、わが神的要素のすべてを伴い、デーヴァキーの息子として、地上に降誕するであろう。またあなたは、ナンダの妻ヤショーダーの子として、地上に生まれるのだ。」

 主からこのように指示されると、女神ヨーガマーヤーはそれを拝受し、主の周りを右回りに回って礼拝した後、地上に降り、迷うことなく主の指示を実行に移していきました。
 まずヨーガマーヤーは、デーヴァキーのおなかに宿っていた胎児を、ローヒニーのおなかに移し替えました。その時、それを知らぬ人々は、デーヴァキーの子供が流産してしまったのだと思い、嘆き悲しみました。

 その後、今度は至高者ヴィシュヌ自身が、その神的要素のすべてを伴って、デーヴァキーのおなかに入ったのでした。
 宇宙の主がおなかに宿ると、デーヴァキーは光り輝き、顔には晴れやかな笑みが浮かびました。それを見たカンサは、今こそ、自分の命を奪おうとする主ヴィシュヌが、デーヴァキーの胎に宿ったのだと知りました。

 しかしカンサは、女性であり、自分の従姉妹であり、しかも妊娠しているデーヴァキーを殺すのは、自分の名声と繁栄を台無しにする行為であり、自分の寿命も短くなってしまうだろう、と考え、その場でデーヴァキーを殺すことはやめました。そして主の化身がデーヴァキーから生まれ落ちるや否や、殺してしまおうと考えたのでした。

 こうしてカンサは、絶えず主ヴィシュヌへの敵意を抱きながら、主の誕生を待ち続けたのです。
 彼は座るときも、寝るときも、立つときも、歩くときも、食べるときも、何をしているときも、24時間、一瞬一瞬、主ヴィシュヌへの強い敵意の思いをもち続けました。
 しかしそのように絶えることなく主に集中し続けた結果、やがてカンサは、全世界が主ヴィシュヌで満たされているという真実を、その眼で見たのでした。

つづく

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