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第六章「成熟」

第六章 成熟

 素晴らしき師に親しみ近づくこと
 正法を学ぶこと
 学んだことに基づいて考えること
 激しく精進すること
 大乗の法を守護すること
 これらが実に、正しく成熟するための道である。

 師の素晴らしさを讃歎すること
 師の教えにしたがってサマーディを得ること
 悟りや神通力などの果報を得ること
 師と心を違わせないこと
 これらが実に、菩薩における、師への帰依による正しい成熟の道である。

 正念正智によって、心をよく守ること
 汚染された考えを取り除くこと
 対治の修習によって障害を取り除くこと
 そして善を欲求すること
 これらが実に、菩薩における、煩悩滅尽のための正しい成熟の道である。

 他の苦しみを見て哀れむこと
 自分だけの幸福を願う劣った心を捨てること
 それにより殊勝な状態に達すること
 そして世間における最上の生となること
 これらが実に、慈悲の成熟の道である。

 堅固なる心を持つこと
 常にきわめて大きな苦しみを耐え忍ぶこと
 それにより殊勝な状態に達すること
 そして何があっても正しい生き方を捨てないこと
 これらが実に、忍辱の成熟の道である。

 正しい教えを学ぶことで心を清浄にすること
 学んだことを忘れないこと
 学んだ教えによく心を悟入させること
 そして心が、偉大なる悟りが生じる土台としてふさわしいものとなること
 これらが実に、智慧を学ぶことの成熟の道である。

 素晴らしい真理を吟味しようという決意
 至高の意味の真理の達成
 邪論の破壊
 そして常に魔に妨げられないこと
 これらが実に、妨げられないことの成熟の道である。

 功徳の集積
 努力に適した心を持つこと
 高尚なる離欲
 そして善への決意
 これらが実に、菩薩における、もろもろの段階を具足するための正しい成熟の道である。 
 
 以上のことによって自己が成熟し、
 また他を成熟させる能力を具足し、
 自己の善は常に増大するものとなり
 常に世界の最上の親族たる者となる。

 菩薩には、自己の財産と身体の中で、いかなる場合にも、他人に対して布施できないものはない。
 平等による布施によって、多くの人々に現在の利益と未来の利益を与え続けても、さらに満足することがない。

 菩薩は、生まれつき他者を傷つけることができず、戒を守ることを自ら楽しみ、怠惰でなく、
 他の人々もその境地に導くことによって、現在の利益と未来の利益を与え、成熟させる。

 加害者に対しても「恩恵者である」という認識を持つ者は、自己が受けた恐ろしい被害をも忘れつつ、
 もろもろの加害者を、善に励まし導くのである。

 このような菩薩は、また常に最上の精進をよりどころとして、幾千カルパの間精進し続けても、疲弊することがない。
 それは、衆生をみな悟りに導きたいという、最上の一心によるが故である。

 心において無上なる自在性に達して、他人を菩薩の道に励まし導く。
 衆生の一切の軽薄で卑しい愛欲を破壊して、
 衆生の善を増大させる。

 彼は至高の真理を悟り、その意味をよく理解して
 もろもろの衆生の疑念を取り払う。
 そうして衆生は真理の教えを尊重し、功徳を積むことによって、
 自分と周りの者たちに利益をなすであろう。

 以上、かの菩薩は、慈悲によって、
 世界が存在する間、迷える衆生と同じ世界に行き、
 劣小と中間と最高の教えを使って、
 衆生を導き、成熟させるのである。

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