瞑想について
瞑想とは、本来は非常にはっきりとしたものでなければならない。決して中途半端に神秘的な、オカルティックなもんじゃないんだ。
神秘的は神秘的だよ。しかしそれは、どんどんはっきりしたものになっていく。
器の狭い人は、自分の中途半端な神秘体験に満足して、人に教えを説き始めたり、すぐに先生になろうとしたりする。そんなんじゃだめだね。もっと求道心を持たなきゃ。
瞑想の世界を記述するのはすごく難しい。いろんなパターンがあるしね。たとえばあるときは、扉を開けるように、またあるときは、瞬間的に世界が変わる感じで、入っていく。
そう、ぜんぜん違う世界に入っていくんだよ。ただボーッと座ってればいいというもんじゃない。もちろん、初期のうちはボーッと座ってるところから始まるわけだけどね。でも長い間ボーッと座っているよりは、呼吸法とかムドラーとかをたくさんやって、最後に少し座ったほうが、まだ瞑想の効率はいいよ。
もちろん、高度な段階ではね、深い瞑想に入り、しかも日常もその状態が変わらない、という意味で、瞑想と日常の区別がなくなるわけだけど、最初は低い意味で、日常と瞑想の区別が無いんだな(笑)。だから最初は、日常は無理でも、瞑想時には、日常を超えた、はっきりした深い世界に入っていけるようにしなくちゃならないんだ。
たとえば、心理学というものがあるね。しかし心理学は、それを学ぶ者にとっては、机上の理論に過ぎない。しかし瞑想というのは、実践心理学的なところもあるんだ。
たとえば深い意識に、はっきりした状態で入っていくとね、実際に自分の心の奥にあるいろいろなものを、見ることができる。感じることができるんだ。
あ、こんなところに、昔経験したこういう記憶があるぞと。そしてそれが、今の私の性格に、こういう影響を及ぼしてるぞ、とかね。
私の経験だと、面白いことに、それに気づいただけで、それが消える場合がある。そうすると、そういう悪い性格の癖みたいのが消えて、性格が一変してしまう。
もちろん、気づいただけでは消えないものもあるね。こういうのは、いろいろと思索して整理するか、あるいは日常を通じてね、その瞑想の経験をもとに、気をつけて生きることでね、消していったり、整理していくことができる。あるいはある場合は、ヨーガ的な技法で、エネルギー的に消すこともできる。
そしてね、人体というのは、小宇宙だ。小宇宙というのは、この人間の内部に、心の中に、あるいは脳の中に、あるいは身体に張り巡らされる気道の中に、じつはこの大宇宙と同じすべての要素が含まれているということだ。
だから瞑想によって「内的五感」を開発すると、それら内宇宙の神秘というか現実を、実際に見、聞き、感じ、探索することができるんだ。これこそ内側の科学であって、瞑想の科学であって、最も早く、何の実験器具もなしに、宇宙の本質を認識できる道なんだ。もちろんこれは、他人に対して証明できないという欠点はあるけどね。個々人がそれぞれ修行するしかないというね(笑)。
だからそこでの証明の基準は、自分自身の謙虚さ、そして自分自身あるいは神々に対する誠実さにかかっているんだ。
謙虚さや誠実さが足りないと、低い段階で満足し、道を踏み誤るからね。
もう一度いうけど、瞑想というのは相当はっきりしているよ。目を開けた世界と、目をつぶった瞑想の世界、どちらもリアルだ。いや、そのうち、瞑想のほうがリアルになってくる。
たとえば暗闇で瞑想してると、面白いんだけど、目を開けて暗闇でボーっとしているときよりも、目をつぶって集中したときのほうが、明るいんだね。まぶしいくらいに光り輝く。もちろん、目を開けてても、集中すれば明るくなるけどね。
現代人は瞑想する時間すらない。だから少しは時間を作ってね、まず前段階で呼吸法その他の準備を行ない、あるいはバクティ・ヨーガとか、教えを学ぶとか、いろいろな準備を行なった上で、少しでもいいから瞑想の時間、自己探求の時間を作るべきだね。
それはとても大事なものを思い出させてくれる時間だ。それはとても貴重だ。そしてそれをどんどん深めて、クリアな状態で深めていかなきゃいけない。
私たちは私たちの奥にある、そして同時にこの宇宙の中心にある、「それ」にね、定期的に触れてなきゃいけないんだ。もちろん、年中触れているのが一番なんだけど、少なくとも定期的にね、瞑想とかで、触れるんだ。
そのために一番手っ取り早いのは本当はバクティ・ヨーガなんだけどね。でもバクティ・ヨーガが向く人は現代人では少ないかもしれないから、みんなに無理強いはしないよ。
ある人はハタ・ヨーガやクンダリニー・ヨーガ中心に、あるいはある人は思索、ある人は集中の瞑想中心にと言った形でね、それぞれの特性にあった道をね、磨いていけばいいんじゃないかと思いますね。
しかし何度もいうけど、やったつもりとか、見せかけだけの瞑想じゃだめなんだ。リアルでクリアで、極微なのに極大。言葉では説明できかねるけど非常にリアルな世界にね、入っていかなきゃいけないんだね。
まあ、書けば書くほどわかりづらくなるかもしれないんで、この辺にしましょう(笑)。
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