法の友よ
法の友よ、君はなぜあの慈悲心を忘れたか。
君がこの世に存在するのは、ただその菩提心なるがゆえだということを
長い輪廻の生活で、忘れてしまったのか。
衆生の苦しみをすべて自分が背負おうという決意を
もう忘れてしまったのか。
皆に馬鹿にされ、皆の悪意を受け、皆に打ちのめされても
その皆を一人残らず救おうという決意を忘れたのか。
自分の功徳をすべて衆生にささげ、衆生の悪業をすべて自分が引き受けようという
あの殊勝なる決意はどこへ行ったのか。
利己主義の世、ギブアンドテイクの世に慣れすぎて
ただ与え続けるという精神を忘れてしまったのか。
法の友よ、君はあの清らかな心を忘れたのか。
聖者とともに暮らし、聖者と一つになり、聖者の友であった
あの日々を忘れたのか。
君は如来(バガヴァーン)のただの道具として
この世につかわされたのだということを忘れたのか。
法の友よ、君はあの絶対の真理を忘れたのか。
すべては至高者の愛であり、すべては最初から完璧であるということを
忘れてしまったのか。
至高者の愛は完全であり、すべての喜びも苦しみも、成功も失敗も、必要に応じてやってくるということを
一時の苦楽にとらわれすぎて、忘れてしまったのか。
あらゆることにとらわれることなく、ただ至高者の道具として
一瞬一瞬、全力で自己の使命を遂行するという決意を
もう忘れてしまったのか。
この世には、どんな清らかな目もくらませる、マーヤーの罠がある。
そんなことは、最初からわかっていたこと。
決してそのマーヤーの罠にははまらないぞという決意を
もう忘れてしまったのか。
この世の一切は空であり、何の実体もなく、
すべては魔法の影絵芝居であるということを忘れてしまったのか。
実体のないカルマの幻影に心奪われることで
完全に輪廻のマーヤーに絡めとられてしまったのか。
立ち返れ、君のおおもとへ。
そこには執着も憎しみもなく、
偏見も観念も利己主義もなく、
帰依と智慧と菩提心に満ちている。
虹の光満ちる、至福と慈悲の光源。
それは何にもかえがたい、君の宝物だ。
その宝物を、一時の感情のために、むざむざと汚物と交換するな。
思い出せ、君のおおもとを。
神や聖者や仏陀につかえた、あの喜びを。
日常に流され、聖者の心を忘れるな。
決して誰をも憎むな。恨むな。怒るな。
与えられた以上のものをほしがるな。
あらゆることに不満を持つな。
君の中には、聖なる真理があり、君をひそかに見守ってくれている師や仏陀や菩薩方がいる。
これ以上、何が必要なのだ。
ただ君のおおもとへ立ち返ることだけを目指せ。
神や仏陀や師の恩寵を思い出し
ただその恩に報いるために
ただ彼らの道具として
ただ衆生の幸福のために生きよう。
願わくば、これらの言葉をほんの少しでも理解できる、法の仲間たちが、この最も大事な要点を、決して忘れませんように。
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